2010 Fiscal Year Annual Research Report
過去の経験と現在の状況から展望的記憶を動的に形成する記憶メカニズムの解明
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120007
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
奥田 次郎 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (80384725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊勝 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70271913)
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Keywords | 知覚 / 記憶 / 予測 / 計画立て / 行動遂行 / インタラクション / 非侵襲脳計測 / 動的神経活動連関 |
Research Abstract |
本研究では、人間が過去の経験から将来の行動を計画・記憶し、現在の状況に即してこれを動的に更新、適切に想起・遂行する展望的記憶の認知脳メカニズムについて、複数認知プロセス間の相互連携ならびに脳内の複数神経システム間の動的機能連関という視点から実験的に明らかにすることを目的とする。特に、「現在の環境の知覚・認知」、「文脈依存的な記憶の形成と取り出し」、「未来の行動予定の計画立てと遂行」という3つの中核的な認知プロセスに焦点をあて、脳波・機能的MRI・ポジトロンCT・経頭蓋磁気刺激など複数の生理実験手法を併用して、その脳内メカニズムを探る。昨年度に引き続き機能的MRIデータの動的連関解析のための方法論的検討を進め、MRI信号から神経活動時系列をベイズ推定する手法を視覚刺激の注意選択課題の解析に応用し、試行ごとの後方視覚領野間の神経活動の拮抗を外側-内側前頭前野ネットワークが検出・解決する過程を捉えた。この手法を、現在の刺激応答と将来行なうべき行動予定との間の注意制御過程に応用し、内側前頭前野における異時点間活動連関がこの制御過程に関わることを見出した。さらに、行動予定を計画して後に想起・実行する課題において、予定想起の成功・失敗が、予定計画時と想起時との間の脳活動の異時点間連関と関係するかについての検討を開始した(現在継続中)。記憶過程に関する検討では、新奇な記憶素材に応答する海馬領域の活動が、その記憶素材に対して行なうべき課題文脈に鋭敏に依存すること、海馬領域が記憶の主項目と周辺環境文脈(記憶項目提示人物)の連合に関わること、記憶の記銘時に活動する海馬領域と後方感覚領野のネットワークが記憶の想起時に感覚特異的に再活動することなどを明らかにし、記憶過程における海馬と感覚領野との間の動的なネットワーク形成を示唆する結果を得た。
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Research Products
(12 results)