2011 Fiscal Year Annual Research Report
過去の経験と現在の状況から展望的記憶を動的に形成する記憶メカニズムの解明
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120007
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
奥田 次郎 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (80384725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊勝 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70271913)
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Keywords | 知覚 / 記憶 / 予測 / 計画立て / 行動遂行 / インタラクション / 非侵襲脳計測 / 動的神経活動連関 |
Research Abstract |
本研究では、人間が過去の経験から将来の行動を計画・記憶し、現在の状況に即してこれを動的に更新、適切に想起・遂行する認知脳メカニズムについて、複数認知プロセス間の相互連携ならびに脳内の複数神経システム間の動的機能連関という視点から、脳波・機能的MRI・ポジトロンCT・経頭蓋磁気刺激など複数の実験手法を併用して明らかにすることを目的とする。昨年度までの検討では、機能的MRIデータを用いて認知課題1試行ごとの大域的な脳領野間の神経活動の相関や拮抗関係を評価する手法を開発し、選択的注意課題をモデル例とした検証を行っていた。平成23年度は、このような手法を、将来の行動予定を計画・記銘し、後に想い出して実行する過程に対して応用し、脳領野間の神経活動相関が行動予定の記憶想起・実行成績にどのように関わるかの検討を行った。視覚刺激に対して行動予定を計画する課題において、視覚刺激の呈示と行動の計画立てとのタイミングに時間差を設け、異なる課題時点における脳領野間の活動相関が後の予定想起の成功・失敗を予測するか検討した結果、行動予定計画中の内側前頭葉-海馬-視覚皮質の間の活動相関が後の予定想起の成績と関連することを見い出した。この結果は、将来の行動予定の形成において、特定の脳領野の活動の強さに加えて、これらを結ぶ脳ネットワークの活動相関が、後に正しく想起・実行されやすい行動予定の形成に積極的に寄与することを示唆する知見である。本年度はまたこれとは別に、本新学術領域のCO1-G3班との共同研究プロジェクトとして、記号コミュニケーションシステム形成課題中の2個体脳波同時計測実験の実験システムを構築し、行動実験ならびに脳波計測実験データを得るに至った。このようなコミュニケーション課題における行動計画・記憶過程の役割、ならびに脳波データの個体間動的相互連関の解析について、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
記憶や展望に関わる個々の神経システムの活動特性に関する知見は順調に蓄積が出来ているが、これらの間の相互作用に関する成果はまだ限られている。一方で、領域内の共同研究プロジェクト(記号コミュニケーション課題中の2個体脳波同時計測実験;CO1-G3橋本班)を開始し、順調に実験データの蓄積を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2個体脳波同時計測実験の共同研究プロジェクトをさらに推進するとともに、得られたデータの動力学的な解析方法や数理モデル化に関して数理理論班との共同研究を試みる。また、記憶や展望の素過程が個体間コミュニケーションに果たす役割について、実験検討ならびに考察を進める。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] 記憶と嘘2011
Author(s)
藤井俊勝
Organizer
玉川大学脳科学リテラシー部門第10回研究会
Place of Presentation
玉川大学(東京)(招待講演)
Year and Date
2011-10-08
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