2010 Fiscal Year Annual Research Report
言語的推論と連続ダイナミクスの相互作用による意味創造メカニズムの解明
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120011
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (90313709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 純哉 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (40397443)
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Keywords | 記号コミュニケーション / 言語 / コデザイン / 意味づけ / 意味生成 / プロトコル形成 / 意味共有 / 動的・生成的コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は,コミュニケーションを,新しい表現や意味の生成・意味づけ・共有の連鎖プロセスとして捉え,表現・意味・構造の生成という動的・生成的コミュニケーションについてのシステム論的理解を目的とする.今年度は主に人工言語を用いて記号コミュニケーションを行う過程を分析する認知実験によりこの研究を推進した 1.図形を組み合わせた記号メッセージの送受信のみを通じて調整課題を解く認知実験を構築した.この実験では,記号の意味や組み合わせ方に何のルールもない状態から,記号への意味づけと体系化を行い,結果的に役割分担を組み込んだコミュニケーション・プロトコルが形成・共有され調整課題が解けるようになる.形成過程では,記号のルール(意味論・統語論)には表れないプラグマティクス(記号使用に伴う行動傾向=語用論)が重要な働きを持つことが示された.具体的には,移動先を限定しその時に同じ記号を送るという暗黙の行動傾向を初期より採用している場合にプロトコルが形成されやすく,また,プロトコルが形成されるとメッセージの送信タイミングが同期するという行動傾向が現れる.この結果より,行動の規則性と発せられるメッセージの随伴性を見いだし結びつける能力が記号を生み出し,それを足がかりとして記号システムが作られるという記号コミュニケーション形成の基盤的メカニズムが示唆される 2.グラフィックの共同製作(コデザイン)によりコミュニケーション場面をモデル化し,メッセージの受け手が多義的解釈を行うことがコミュニケーションにおよぼす影響を調べた.そして,受け手による独自の意味づけが,送り手による再解釈を誘発したりコンセプトを変化させたりし,コミュニケーションにおいて,共有だけではなく,生成が生、じることを明確に示した.また,生成の条件はメッセージの送り手と受け手の文脈共有であることを示唆した
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Research Products
(12 results)