2012 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of real-time motor command generation through interaction between environment, body and neural modules
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
21120012
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
阪口 豊 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 教授 (40205737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 英三 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00182014)
成瀬 康 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所, 主任研究員 (00455453)
石田 文彦 富山高等専門学校, 専攻科, 准教授 (20345432)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 運動メカニズム / 脳科学 / 脳波 / 計算モデル / 相互作用 / 間欠的制御 / 分節 / 身体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,身体や環境との相互作用の中で脳神経系が運動指令を実時間で生成するメカニズムを解明することである.この目的達成に向けて本年度は以下の研究を行なった. まず,本研究における作業仮説である「間欠的制御」仮説に関する計算モデルについては,視覚的目標追従課題を例題に想定して,前年度に構成したモデルの検討を進め,制御アルゴリズムとしてほぼ完成させた.ヒトの行動実験については,複素ウェーブレット変換を利用して手先運動の軌道データから運動分節を抽出するアルゴリズムを構築し,従来法に比べてより安定的な運動分節抽出に成功した.また,追従すべき目標運動の性質を変えたときのヒトの振舞いを系統的に調べることで,間欠的制御を起動する感覚手がかりについて検証する実験に着手した. ヒトを対象とした脳波解析では,分担者が開発した単一試行脳波から周期的自発脳波の位相シフトを検出する手法を単純反応課題時の脳波データに適用した.その結果,刺激提示から反応までの間にμ波の位相シフトがあったか否かで反応時間が有意に変化するという結果を得た.この結果は,μ波の位相変化が行動に影響を与えていることを示唆する. サルを対象とした実験では,脳が運動を分節化して実行していることの証左を得るための行動実験を行った.円状曲線の描画課題を自由意志の下でサルに課し,描画運動中の手先位置と目の視線位置を解析した結果,次の2点が明らかになった.1)描画運動中の軌跡の曲率と速さは一定ではなく周期的に複数回変化していた.2)描画運動中にサッカードが複数回発生し,その視線位置は曲率の極小値近傍に多い傾向が見られた.これらの結果は,単純な円状曲線の描画運動においても運動を分節化している可能性があり,また,視線位置からサルが計画した分節点を推定できる可能性があることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算モデル,行動実験,ヒトを対象にした脳波計測実験については当初計画どおりに進捗している.マルチ電極を用いたサルの電気生理実験については,電極埋め込み手術が予定より遅れ神経活動データが取得できていないが,サル訓練の過程で行なった行動実験から有用な結果を得ており,全体としてはおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も当初計画どおりに研究を進めていく計画である.特に,来年度は最終年度であるため,計算モデル,行動実験についてこれまでに得られた成果は論文執筆を集中的に行ない,成果の対外公表に注力する一方で,本研究の成果を新しく展開する方向性について検討したい.また,マルチ電極を用いたサルの電気生理実験については電極埋め込みとデータ取得を行ない,行動実験と対比できる神経活動データが得られることを期待したい.
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