2010 Fiscal Year Annual Research Report
準安定的に形成される受容体・リガンド複合体間の相互作用解析
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
21121002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70196476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 〓求 首都大学東京, 戦略研究センター, 准教授 (50381554)
甲斐荘 正恒 首都大学東京, 戦略研究センター, 特任教授 (20137029)
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Keywords | 構造生物学 / 核磁気共鳴法 / 相互作用 / 過渡的複合体 / 転移交差飽和法 |
Research Abstract |
細胞接着分子CD44は、細胞外マトリックスの主成分であるヒアルロン酸(Hyaluronic acic ; HA)と相互作用することにより、細胞接着、細胞遊走に関与するタンパク質である。CD44は、細胞外領域のN末端に、HAとの結合を担う158アミノ酸残基から成るHA結合ドメイン(HA-binding domain ; HABD)を有する。当研究室において、HABDはHA結合に伴い、C末端に構造変化が生じ、運動性が高いdisorderした構造をとることが明らかとなっている。そこで、本研究ではCD44のHA認識機構と細胞接着に関し、NMRを用いた構造生物学的および細胞生物学的研究を行った。 リガンド非結合時のHABDの1H-15N HSQCスペクトル上において、HABDのシグナルとして一義的に帰属されたシグナル以外に複数のマイナーシグナルが観測された。これらのマイナーシグナルの化学シフトは、HA結合時に観測されたものと同様であった。1H-15N HSQCスペクトル中におけるマイナーシグナルは、測定温度の上昇に伴いシグナル強度が増大し、またその変化は可逆的であった。加えて、メジャーおよびマイナーピーク間に化学交換が観測された。この結果より、HA非存在下のHABDは、既に結晶構造が解明されてHA非結合型構造とC末端に構造変化が生じているHA結合型の構造との間のHA存在下および非存在下の立体構造をもとに、C末端がdisorderした構造に平衡を片寄らせた変異体を作成し、HAに対する親和性を測定した。その結果、変異体は野生体と比較して7倍高い親和性を有していることが判明した。 次に、この平衡が細胞のローリングに及ぼす影響を調べるために、CD44野生体および作成した変異体を発現した細胞を調製し、そのローリグ活性を調べた。その結果、野生体を発現した細胞ではローリングが観測されるものの、変異体のものでは観測されなかった。変異体では野生体に観測される高親和性・低親和性状態間の平衡が存在しないことを考え、CD44発現細胞のローリングには、HABDの立体構造平衡が重要な役割を果たしていると結論した。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] Two-state conformational equilibrium of the hyaluronan-binding domain regulates adhesiveness of CD44 under flow condition2010
Author(s)
Shinji Ogino, Noritaka Nishida, Ryo Umemoto, Miho Suzuki, Mitsuhiro Takeda, Hiroaki Terasawa, Joji Kitayama, Masanori Matsumoto, Haruko Hayasaka, Masayuki Miyasaka, Ichio Shimada
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Journal Title
Structure
Volume: 18
Pages: 649-656
Peer Reviewed
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