2011 Fiscal Year Annual Research Report
準安定的に形成される受容体・リガンド複合体間の相互作用解析
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
21121002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70196476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐荘 正恒 首都大学東京, 戦略研究センター, 特任教授 (20137029)
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Keywords | 構造生物学 / 核磁気共鳴法 / 相互作用 / 過渡的複合体 / 転移交差飽和法 |
Research Abstract |
ユビキチンと酵母ユビキチン加水分解酵素(YUH)が形成する過渡的複合体を、常磁性緩和増大(PRE)を利用したNMR解析により高感度で検出するために、スピンラベルの導入部位を検討した。12種類の部位に対して修飾反応を行い、修飾率と観測されるPREの大きさを調べた。その結果、これまでに確立していたT40に加えて、E43,E220へのスピンラベルの導入およびPREの観測に成功した。これにより、検出されるPREの数が約3倍に増大しただけでなく、過渡的複合体では、ユビキチンのG10近傍、A46近傍、C末端のいずれもT40,E43,E220に近接しており、両者が様々な向きを向いているという結合様式が新たに明らかになった。 さらに、導入する常磁性金属の種類を検討した結果、従来のガドリニウムイオンだけでなく、マンガン、鉄、バナジルイオンでのPREの検出に成功した。いずれの金属でも、ガドリニウムイオンより約2倍大きいPREが観測された。さらに、観測されたPREの大きさと運動性がない時に各金属が誘起するPRE大きさをプロットすることで、最終的に形成される複合体と過渡的複合体では結合・解離の交換速度が異なり、それぞれ約50s^<-1>,1,000s^<-1>以上であることが新たに明らかとなった。 このような過渡的複合体をユビキチンが迅速に形成することは、YUHだけでなく多様な蛋白質とconformational selectionのメカニズムでの複合体形成を迅速に行う上で重要であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、ケモカインとその受容体の相互作用解析、細胞接着因子との相互作用解析および光合成膜タンパク質に関し、それぞれ過渡的複合体の検出に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
推進上の大きな問題点はないが、新学術領域の最終年度に近づいてきたので、一層の研究の加速を目指す。
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