2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高解像度1分子蛍光顕微鏡の開発と細胞膜受容体の情報伝達機構の1分子解析
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
21121004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船津 高志 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00190124)
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Keywords | 1分子生理・生化学 / 1分子イメージング / ナノ計測 / 受容体 / 生体膜 |
Research Abstract |
血小板は造血幹細胞が巨核球へと分化し、巨核球が断片化することで作られる。巨核球系列の細胞には一回膜貫通型受容体のMplが特異的に発現していて、そのリガンドがトロンボポエチン(TPO)である。TPOは巨核球系列の細胞の増殖と分化を促進するサイトカインで、血小板産生の主要な制御因子だとされている。TPOとMplの相互作用を1分子レベルで明らかにするため、それぞれの分子の蛍光標識法を確立した。TPOにはMplを介して増殖シグナルを伝達するのに必須な2組のジスルフィド結合が存在する。そこで、ピューロマイシンを用いた方法でTPOを蛍光標識することにした。ピューロマイシンにはタンパク質の翻訳過程において翻訳されたポリペプチド鎖のC末端に共有結合する性質がある。そこでアフィニティー精製用のデスチオビオチンタグと蛍光色素のCy5xを結合させたピューロマイシンを化学合成し、その存在下で無細胞タンパク質合成系PURESYSTEMS-Sを用いてTPOを翻訳した。その結果、C末端にデスチオビオチンタグとCy5が共有結合したTPO(TPO-Cy5x)が合成された。デスチオビオチンタグとあらかじめTPOのC末端に導入しておいたヒスチジンタグを用いて、蛍光標識されたTPOをアフィニティー精製した。TPO-Cy5xにはMpl発現細胞を増殖させる活性があること、生細胞においてMplに特異的に結合することが確かめられた。次に、ACPタグを融合したMplに酵素を用いることで蛍光色素を共有結合させた。ACP融合型MplをFDC-P2細胞に発現させ、蛍光色素のDY547で標識した。この細胞を不飽和脂肪酸で修飾したガラス表面に接着させることにより、ガラス近傍側の細胞膜上におけるMplを全反射照明により一分子観察できるようになった。
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