2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theory for construction of low entropy reaction space toward heterogeneous catalysts and complicated catalysts
Project Area | Highly organized catalytic reaction chemistry realized by low entropy reaction space |
Project/Area Number |
21H05082
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮村 浩之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (00548943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八谷 巌 三重大学, 工学研究科, 教授 (50312038)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | 低エントロピー反応空間 / フロー合成 / 芳香族化合物水素化 / 不均一系触媒 / 金属ナノ粒子 / 流体・反応シミュレーション / Lewis酸触媒 / 協調触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリシランーアルミナ複合担体固定化ロジウムー白金合金ナノ粒子触媒とスカンジウムトリフラートやイッテルビウムトリフラートのようなLewis酸触媒との協調効果により、芳香族化合物の水素化反応が大幅に加速されることを見出した。令和4年度は、複数の基質に対して、詳細な速度論解析を行い、その加速の大きさも異なることを見出した。さらに、不均一系金属ナノ粒子触媒とLewis酸触媒が協調的に基質を活性化し、反応速度に大きく影響することを見出した。また、通常の触媒では核水添反応が困難な、嵩高い置換基を複数有する芳香族化合物や電子供与性の置換基を複数有する芳香族化合物、嵩高い置換基を有するヘテロ芳香族化合物の水素化反応が、本協調触媒系を用いることで、円滑に進行することを見出した。 また、ポリシランーアルミナ複合担体固定化ロジウムー白金合金ナノ粒子触媒とLewis酸触媒との協調触媒系において、アリールアルキルエーテルの還元的エーテル開裂反応が進行することを見出した。本反応は、リグニンなどのバイオマス分解において重要なはんのうである。 一方、ポリシランーアルミナ複合担体固定化金ー白金合金ナノ粒子触媒を用いるキニザリンのロイコキニザリンへの水素化反応が、連続フロー系にて、高収率、高選択性をもって進行することを見出した。白金の単金属ナノ粒子触媒に比べ、金ー白金合金ナノ粒子触媒がより良好な反応性と選択性を与えた。また、連続フロー系においては、液相および気相の流量が、反応性および選択性に大きな影響を与えることを見出し、定量的に長時間に渡り目的物を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリシランーアルミナ複合担体固定化ロジウムー白金合金ナノ粒子触媒を用いる、芳香族化合物の水素化反応において、バッチ系とフロー系で、その反応速度定数が大きく異なることを見出した。また、A04浅野班との共同研究において、複数種類の芳香族化合物の混合系での、金属ナノ粒子への基質の吸着において、基質同士が触媒表面で相互作用し、核水添反応の速度に影響を与えるという興味深い反応機構を見出した。 一方、新たに、ポリシランーアルミナ複合担体固定化ロジウムー白金合金ナノ粒子触媒とスカンジウムトリフラートやイッテルビウムトリフラートのようなLewis酸触媒との協調効果により、芳香族化合物の水素化反応が大幅に加速されることを見出した。詳細な速度論解析の結果、基質の種類によって、その加速の大きさも異なり、基質とLewis酸触媒との相互作用の様式も、反応速度に大きく影響することを見出した。また、アリールアルキルエーテルを基質として用いると、エーテル結合の還元的開裂が進行するという興味深い反応性を見出した。 また、ポリシランーアルミナ複合担体固定化金ー白金合金ナノ粒子触媒を用いるキニザリンのロイコキニザリンへの水素化反応が、連続フロー系にて、高収率、高選択性をもって進行することを見出した。本反応は、後段のフロー反応系と連結することで、蓄電池材料酸化還元活性化合物やバイオマーカー化合物の効率的な合成系構築も可能となる。 以上のように、連続フロー系や複数の触媒活性種が協調して機能する複雑触媒系における興味深い反応性や、その反応メカニズムが徐々に明らかになってきており、低エントロピー反応空間の特長を活かした触媒系の構築が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度、A04浅野班との共同研究において、複数種類の芳香族化合物の混合系での、金属ナノ粒子への基質の吸着において、基質同士が触媒表面で相互作用し、核水添反応の速度に影響を与えるという興味深い反応機構を見出した。今後、異なる基質や溶媒、触媒活性種において同様の現象が見いだせるか引き続き検討を行う。 一方で、ポリシランーアルミナ複合担体固定化ロジウムー白金合金ナノ粒子触媒とLewis酸との協調触媒系が、アリールアルキルエーテルの還元的開裂反応に対して、高い活性を占めることを見出している。本反応は、バイオマスの有用化合物への変換などにも応用可能と考えられることから、リグニン構造のモデル化合物を用いる反応などの検討をすすめる。 また、ポリシランーアルミナ複合担体固定化金ー白金合金ナノ粒子触媒を用いるキニザリンのロイコキニザリンへの水素化反応が、連続フロー系にて、高収率、高選択性をもって進行することを見出している。本反応の生成物であるロイコキニザリンは、蓄電池材料酸化還元活性化合物やバイオマーカー化合物などの有用化合物への変換が可能な重要な中間体である。令和5年度、は、1,4-ジアミノアントラキノン誘導体等への変換が可能な連続フロー計の開発を行い、前段のフロー系との連結を目指す。
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Research Products
(8 results)