2022 Fiscal Year Annual Research Report
フロー反応シミュレーションによる低エントロピー反応空間の基礎理論と設計論の構築
Project Area | Highly organized catalytic reaction chemistry realized by low entropy reaction space |
Project/Area Number |
21H05083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅野 周作 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30827522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 真二 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (70588889)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | 数値流体力学計算 / 速度解析 / 活性化パラメーター / 反応装置設計 / フローリアクター |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においては、混合と反応を対象とした数値流体力学(CFD)計算、反応速度論モデルに基づいた複合型反応・分離装置の最適化計算、気液固3相存在下での触媒吸着モデル構築などに取り組んだ。 まず、混合・反応について、既往の研究の大前提には、線形的な「混合が速いほど、反応成績が向上する」という考え方があった。本研究ではこのことを疑い、新たに併合型混合モデルを構築し、CFD計算にて検証した。その結果、混合時間が同一であっても、併合型混合によって、反応選択性が大きく変化することが明確に示された。CFD計算結果の一例として、T字マイクロリアクターで混合を行った場合、横からの流体が上からの流体に取り込まれることが確認できている。さらに、原料Aの消費をB1とB2が競合する反応を対象に計算した。この際、Aを含む流体をBに取り込ませた際に、良好な反応成績が得られるが、逆の場合は併合された箇所で副反応が進行してしまうため、2流体の供給口を入れ替えると、内部の流動状態は一切変化しないにも拘らず、反応選択性が劇的に変化した。併合型混合の考え方は、混合に関する長年の研究でも全く類似報告例がなく、非常に独創的であるといえる。 複合型反応・分離装置について、フロー式の利点が顕著に表れると考えられる膜型反応器と高分子の選択的解重合反応を対象に、モデル化と実験検証を行った。膜のサイズ(MWCO)と透過率の関係を、反応速度式と組み合わせ、MWCO値と反応器の操作条件から、遷移状態・定常状態それぞれでの反応成績を予測することに成功した。 気液固3相存在下での触媒反応論について、滞留時間分布測定や吸着測定の結果を、反応速度解析結果と結び付けながら、古典的なLangmuir-Hinshelwood式が成立しなくなる条件およびその理由について、現在解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際学術誌に論文を3本発表し、1本投稿中、1本準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度での締めくくりに向け、各種の実験・CFD計算・モデル化を統合していく。 人件費の配分を増やし、マンパワーを確保して研究を行う。
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