2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of kinetics-controlling molecules for construction of asymmetric structures
Project Area | Kinetics-Driven Supramolecular Chemistry |
Project/Area Number |
21H05096
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村岡 貴博 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70509132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渕 拓哉 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10795610)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | 遅延制御 / 超分子化学 / タンパク質 / フォールディング / ミスフォールディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体における非対称形構築の中心的かつ普遍的な速度論支配の制御方法「遅延制御」の化学的再構築を目的とする。細胞におけるタンパク質フォールディングに関わる遅延制御分子、遅延制御分子集合体の模倣分子システムを開発し、三次・ 四次構造タンパク質の効率的なフォールディングを実現する。細胞内では、1つのタンパク質分子のフォールディングに、複数のシャペロン酵素やジスルフィド結合交換触媒酵素が協同作用していることが示されている。フォールディング反応初期の大まかなポリペプチド鎖折りたたみを促すものの、天然構造形成を遅延させる酵素と、フォールディング反応後期の精緻な折りたたみを促すものの連動がその典型例である。2021年度では、これらフォールディング反応初期と後期に作用する酵素に対応する機能を示す人工模倣分子の開発を行った。ジスルフィド結合交換触媒酵素は、酸化還元反応を担うシステイン残基が活性中心である。その周辺構造や酵素分子全体の運動性の違いによって、大まかな折りたたみと精緻な折りたたみなど、その機能特性が制御されている。この酵素分子の構造と機能の関係から着想し、酸化還元活性を持つチオール基を有し、その周辺構造の異なる複数の化合物を開発した。その内、特に立体的な混雑さが異なるチオール化合物同士で、大まかな折りたたみと精緻な折りたたみを促す対照的な効果を見出した。その機能は、チオール基の化学的な反応性の違いで説明することができた。本成果は、細胞内で見られる遅延制御システムを再現し、効率的なタンパク質フォールディング促進を可能にする人工分子システム構築につながる基盤と位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、2021年度は、遅延制御機構を有する人工分子の開発を計画していた。これまでに、その実現のみならず、遅延プロセス後にフォールディングを促進する多段階反応を可能にする人工分子の開発にも成功し、遅延制御分子連動システムの構築につながる基盤成果を得ることができた。これは当初計画を上回る進展であり、従って当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に構築した分子連動システムの基盤要素を組み合わせることで、効果的な連動反応を実現し、従来系よりも高い効率でタンパク質フォールディングを促進する技術の構築を目指す。
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Research Products
(34 results)