2022 Fiscal Year Annual Research Report
表面水素工学:水素スピルオーバー現象を活用した新規触媒プロセス
Project Area | Surface hydrogen engineering: Utilization of spillover hydrogen and verification of quantum tunneling effect |
Project/Area Number |
21H05099
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
本倉 健 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90444067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 仁志 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60452009)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | 固体酸触媒 / 担持金属触媒 / 水素スピルオーバー / 還元反応 / 酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究では前年度に引き続き、固体酸触媒表面によるアルカンの活性化と、水素の逆スピルオーバー現象を活用したアルカンとベンゼンの直接的カップリング反応に関して検討を行った。特に、固体酸触媒の機能と担持金属粒子の機能を複合化した触媒の開発に成功し、表面に存在する活性な水素種の寿命も含めた詳細な構造解析を領域内の共同研究として実施した。この研究成果に関して、複数の学会発表を実施するとともに、領域内の共著論文を準備中である。さらに、最も活性化が難しいとされるメタンの反応においても固体酸触媒と金属ナノ粒子との組み合わせが効果的であることを見出した。この触媒系では、メタンの脱水素カップリング反応によってエタン・エチレンを選択的に合成することに成功しており、またメタンと金属種との反応によって生成する水素種を用いることで触媒反応に高い選択性を示すバイメタル粒子が形成されることを見出し、現在論文投稿中である。加えて、固体表面で形成される水素種の機能を活かした触媒的還元反応にも取り組み、特にシリコン表面で活性なヒドリド種を発生させることに成功し、これを還元剤とする二酸化炭素の還元反応・還元的機能化反応が効率よく進行することを見出した(Energy Adv. 2022, 1, 385; Commun. Chem. 2022, 5, 150)。また、プロトン交換膜を用いる電解反応系においてもアルコールの脱水素反応が効率よく進行することを見出し、論文発表を実施した(Sustainable Energy & Fuels, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルカン活性化反応に関して、水素の逆スピルオーバーを利用した新しい触媒系を開発し、触媒反応の高効率化に成功している。関連する研究においても、活性な水素種の発現とそれを用いる化学反応の加速効果を見出しており、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに開発した触媒・反応系に関して、水素逆スピルオーバーや活性な水素種の発現機構に関する研究を重点的に実施し、さらに領域内の共同研究を通じて詳細な反応機構の解析を行い、学術論文等の研究成果としてまとめる。また、これまでの研究成果から明らかになってきた活性な水素種の発現機構を、二酸化炭素還元反応や電解合成等の新たな反応系へと適用し、水素スピルオーバー現象を活用した高効率触媒反応系を構築を目指す。
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