2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism for dimensional response genome using intracellular environmental evaluation systems and development of dimensional response genome bank
Project Area | Elucidation of the mechanism for dimensional response genome across species regulated by nucleic acid structures |
Project/Area Number |
21H05109
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
建石 寿枝 甲南大学, 先端生命工学研究所, 准教授 (20593495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴岡 孝章 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (20550239)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞内環境評価系 / 核酸非二重らせん構造 / 遺伝子発現 / 多元応答機構 / 多元応答ゲノムバンク(DiR-GB) |
Outline of Annual Research Achievements |
本領域研究では、多様な生物種における核酸の非二重らせん構造を網羅的に解析し、核酸構造に制御されるゲノムの多元的な発現機構(多元応答ゲノム機構)を解明する。そのため、本計画研究(A02班)では、下記の研究を推進する。 [1] 細胞内の核酸構造を定量的に解析するため、実細胞のタンパク質などを用いて究極の細胞内環境評価系を構築する(模する研究)。[2] ヒト、植物、菌類など様々な生物種の細胞内における核酸構造を解析し、得られたデータをフィードバックして細胞内環境評価系を最適化する(磨く研究)。[3] 様々な生物種の核酸“構造”情報を集約したデータバンクを構築する(創る研究)。このデータバンクにA01班、A03班に解析されたトランスクリプトーム解析等を組み込み、ゲノムの高次情報として遺伝子発現を制御し得る配列を予測できる多元応答ゲノムバンク(DiR-GB)を創製することを目指す。 2021年度は、模する研究として、実細胞内の環境を中性高分子や有機金属錯体(MOF)によって模倣した実験系を構築することを試みた。まず、中性高分子によって細胞内環境の生体分子で込み合った分子クラウディング環境下を構築し、分子クラウディング環境下における多元応答を示す核酸構造の挙動を解析し、核酸構造に及ぼす周辺環境の重要性を示した(Chem. Commun., 58, 48 (2021), RSC Adv., 11, 37205 (2021))。さらに、細胞小器官などの細胞内の特殊な空間を模倣するため、MOFの形態や物性を制御する技術を開発した(CrystEngComm, 23, 8498 (2021))。さらに、多元応答を示す核酸構造であるG四重らせん構造が遺伝子発現機構に及ぼす影響についても解析し、核酸構造の重要性を示した(J. Am. Chem. Soc., 143, 16458 (2021))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本領域研究では、核酸の構造を介した遺伝子発現機構「多元応答ゲノム」機構を明らかにすることを目的とする。そのために、A02班では、核酸構造の環境に応じたエネルギーパラメータを収集し、核酸の構造変化機構を解明し、核酸構造を予測できるデータバンクの構築を担当する。そのために、本年度は中性高分子やタンパク質などを用いた細胞内環境評価系において、物理化学的手法により非二重らせん構造の形成機構を明らかにできた(Chem. Commun., 58, 48 (2921), RSC Adv., 11, 37205 (2021))。また細胞内の分子環境(空間や物性)による効果を厳密に評価するためには核酸周辺の空間を厳密に制御する必要がある。そこで、ナノ材料として使われているMOFや核酸ナノ構造などを用いて、細胞内空間を模倣した細胞内環境評価系の構築を試みる。まず、本年度は、細胞内空間を厳密に再現することを目指して、MOFの形態や物性を制御する技術や(CrystEngComm, 23, 8498 (2021))、高分子ポリマーを任意の空間に塗布する技術を開発することができた(RSC Adv., 12, 3716 (2022))。 さらに、多元応答を示す核酸構造であるG四重らせん構造が細胞内のイオン濃度変化に応じて遺伝子発現機構を制御する機構(国際シンポジウムG4 webinar series Round VI、Pacifichem2021などで招待講演)や、複製機構に及ぼす影響を明らかにすることができた(J. Am. Chem. Soc., 143, 16458 (2021))。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、模する研究として、2021年度に構築した中性高分子やタンパク質などを用いた細胞内環境評価系において、物理化学的手法により核酸の構造形成機構を詳細に解析する。さらに、実細胞内のタンパク質を用いた細胞内評価系を構築し、生物種ごとの分子環境を評価できる実験系を構築する。構築された細胞内評価系と、2021年度に構築したMOFを基盤とした細胞内環境評価に標的分子(核酸)を導入し、核酸構造形成パラメータをエネルギーレベルで算出する。 磨く研究として、A03班と共同で、細胞内における核酸構造を様々な生物種を用いて解析する。本年度は、大腸菌やシロイヌナズナなどを対象に、実細胞内における核酸構造を解析する研究を遂行する。植物細胞内における核酸構造のイメージングについては、A03班と連携して推進する。核酸構造の詳細な解析においては、海外の構造解析を専門とする共同研究者と連携することで、迅速な構造決定を行う。 創る研究として、A01班と共同で、ゲノム配列データベースKEGGに登録されている生物の遺伝情報基に核酸非二重らせん構造を形成可能な位置を解析し、ゲノムの1次情報から予測される非二重らせん構造のマッピングを試みる。まずは、一般的な非二重らせん構造である四重らせん構造を対象に、さまざまな生物種における四重らせん構造を検索する。これらのデータと、磨く研究において解析された実細胞内における核酸構造の形成情報を比較し、四重らせん構造の形成アルゴリズムの最適化を行う。
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[Journal Article] Chemical Modulation of DNA Replication along G-Quadruplex Based on Topology-Dependent Ligand Binding2021
Author(s)
S. Takahashi, A. Kotar, H. Tateishi-Karimata, S. Bhowmik, Z.-F. Wang, T.-C. Chang, S, Sato, S. Takenaka, J. Plavec, and N. Sugimoto
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 143
Pages: 16458-16469
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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