2022 Fiscal Year Annual Research Report
Compressive stress against brain tumors: its effect on tumor cell growth and the underlying molecular mechanism
Project Area | Pressio neuro-brain science: principle for brain function development through compressive stresses under physiological or pathological condition |
Project/Area Number |
21H05127
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 宏聡 金沢工業大学, バイオ・化学部, 教授 (90414028)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 腫瘍細胞塊 / 三次元培養 / スフェロイド / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋内という閉鎖空間における脳腫瘍の形成・発達は、頭蓋内圧の上昇と隣接組織の圧迫を引き起こし、反作用として腫瘍組織そのものに圧縮力を生じさせると考えられる。研究代表者がこれまでに見出した「細胞間接着構造にかかる引張力による細胞増殖への抑制効果」を踏まえると、脳腫瘍への圧縮力負荷は細胞間側方圧を上昇させることで腫瘍細胞の増殖を促進する可能性がある。そこで本研究では、圧縮力が腫瘍細胞の増殖と腫瘍細胞塊の成長におよぼす効果およびその分子機序を明らかにすることを目的としている。 昨年度までに、表皮癌細胞をコラーゲンの三次元細胞外マトリックス中に包埋してインキュベータ内環境で10日間に渡って位相差顕微鏡観察することに成功し、表皮癌細胞塊が成長につれて周囲の細胞外マトリックスを押すのではなくむしろ引っ張っていることを示唆する予想外の結果が得られた。この結果は、三次元細胞塊における力学環境と細胞増殖とのクロストークを考える上で、前提となる力学条件の再考を促すものであった。そこで今年度は、この現象の定量的な特性評価を進めた。表皮癌細胞塊によって周囲の細胞外マトリックスに加えられる変形場を特異的に可視化定量するため、新たにインキュベーター内設置型長深度蛍光顕微鏡を導入し、マトリックス中に分散させた蛍光ビーズの長時間(10日間)蛍光イメージングを行なった。その上で、取得画像に粒子画像流速計測法(PIV)を適用することでマトリックス変形場を導出した。その結果、細胞塊はその成長につれて、周囲のマトリックスを継続的により大きく引張変形するようになることが明らかとなった。また、細胞塊の成長とともに細胞塊に取り込まれた細胞外マトリックスの領域では、マトリックス中の蛍光ビーズがランダムな方向に動き回るようになる様子が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度から新しい研究機関に異動して研究室を立ち上げたが、実験を再開するまでの立ち上げ作業に多くの時間を要した。そのため、当初計画していた、がん細胞塊が周囲の三次元細胞外マトリックスを引張変形させるメカニズムの解析までは進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、がん細胞塊の成長と三次元細胞外マトリックスの変形との間の経時的相関を定量的に明らかにする。マトリックス変形場の可視化定量には既に成功しているが、細胞塊の体積変化を同時に計測するため、アクチンフィラメントに対する蛍光プローブ(Lifeact-mCherry)を導入することで蛍光可視化したがん細胞塊を調整し用いる。 また、成長時のがん細胞塊が周囲の三次元細胞外マトリックスを引張変形させるメカニズムを明らかにするため、細胞内の主要な引張力発生装置であるアクチン・ミオシン系の関与を解析する。一方で、細胞塊が成長中にも関わらず周囲のマトリックスを継続的に引張し続けるためには、細胞塊によるマトリックスの分解も関与している可能性が想像される。実際、細胞塊に取り込まれた細胞外マトリックスの領域では、マトリックス中の蛍光ビーズがランダムな方向に動き回るようになる様子が観察されている。そこで、マトリックスメタロプロテアーゼを抑制した場合の効果を解析する。さらに、マトリックスの引張変形に対する効果の解析に加え、アクチン・ミオシン系およびマトリックスメタロプロテアーゼへの薬理学的/遺伝学的介入が細胞塊の成長(体積増大)に及ぼす影響も定量評価する。
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Research Products
(5 results)