2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢とポストリソソームの連関が駆動する脊椎動物個体老化制御メカニズムの解明
Project Area | Post-lysosome: Understanding of Higher-order Biological Processes initiated by the site of degradation |
Project/Area Number |
21H05148
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 耕太 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (10867279)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | ポストリソソーム / 腸内細菌叢 / 老化 / ターコイズキリフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
超短命魚ターコイズキリフィッシュを用い、ポストリソソームシグナルという新規着眼点から脊椎動物における個体老化制御の分子機構を解明するため、以下2つの目的で解析を行った。 [目的1]人為的なポストリソソームシグナル活性化が脊椎動物の腸内細菌叢および個体老化に及ぼす影響の解明 線虫においてポストリソソームシグナルを活性化することが報告されているlysosomal lipaseに着目し、これを全身で過剰発現するターコイズキリフィッシュ系統の作出に取り組んだ。現在までに遺伝子改変系統の第一世代が得られた。さらに、ポストリソソームシグナルが特に重要な機能を持つ組織を推定する基本データを得るため、領域内の共同研究によりターゲットリピドミクスを行い、野生型ターコイズキリフィッシュ各組織におけるポストリソソームシグナル候補脂質であるN-アシルエタノールアミン類の存在量を明らかにした。加えて、線虫においてポストリソソームシグナルを活性化させる重要な要因と考えられている、生殖細胞除去実験をターコイズキリフィッシュを用いて行った。その結果、lysosomal lipaseの発現上昇が確認でき、脊椎動物で初めて生殖細胞除去とポストリソソームシグナル制御の関連が示唆された。 [目的2]腸内細菌叢と個体老化を繋ぐ新規ポストリソソームシグナルの分子実体の探索 ターコイズキリフィッシュの短命系統と長命系統のゲノム比較解析から見出した、スフィンゴ脂質代謝酵素の変異に着目し、遺伝子機能改変系統を作出した。これを用いて腸内細菌叢解析を行った結果、代謝酵素の機能低下が腸内細菌叢を改善することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に必要なターコイズキリフィッシュ遺伝子改変系統の作出が順調に進んだ。さらに、ポストリソソームシグナルの分子実体を解析する上で必要な、領域内共同研究によるターコイズキリフィッシュ組織を用いた脂質代謝解析の系も立ち上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポストリソソームシグナル活性化ターコイズキリフィッシュ系統が確立し次第、各組織を用いて脂質代謝解析を行い、ポストリソソームシグナルの分子実体の候補を絞り込む。また、シグナルの活性化が個体老化や寿命、腸内細菌叢に及ぼす影響を解析する。ポストリソソームシグナルの活性化が示唆された生殖細胞除去ターコイズキリフィッシュについても、活性化メカニズム等の解析をさらに進める。腸内細菌叢の改善が見られたスフィンゴ脂質代謝酵素機能改変系統については、腸内細菌叢の変化を菌種レベルで捉えるべく、より詳細な解析を行う。
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Research Products
(2 results)