2022 Fiscal Year Annual Research Report
Science for Creation of Biomaterials by Super Thermal Field
Project Area | Creation of Materials by Super Thermal Field: Neo-3D printing by Manipulating Atomic Arrangement through Giant Potential Gradient |
Project/Area Number |
21H05197
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石本 卓也 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (50508835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
松垣 あいら 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10592529)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | レーザー粉末床溶融結合法 / バルク / 表面 / 金属バイオマテリアル / チタン合金 / 超急冷 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、「バルク」に関しては、前年度創製した生体用Ti-X基合金(Xはβ相安定化元素)のレーザ積層造形体(角柱状試料)について、結晶相をXRD、TEM、STEMにより同定し、結晶集合組織をFE-SEM-EBSDにより解析、さらに、ヤング率、降伏応力を引張試験によって解析した。純金属粉末を出発原料としたin process alloyingにより合金化したが、均一な組成の造形体が獲得できた。2つの着眼点、① 絶対安定性の発現、② 不安定β相による生体力学機能化に基づいて、研究を推進した。 ① 絶対安定性の発現に関しては、特定の組成において、冷却速度が大きいアーク溶解材では顕著な濃度分配が生じたにも関わらず、極めて大きな急冷をともなうレーザ積層造形体では明確な濃度分配が見出されず、絶対安定に近い状況下での凝固が示唆された。 ② 不安定β相による生体力学機能化に関しては、Xの添加量の一定の範囲では、ほぼβ単相となり、低X側ではω相の析出が観察された。特定のレーザプロセスウィンドウ内にてβ相は強く配向化した結晶集合組織を示し、さらに、レーザ走査ストラテジに依存してパーツ内での配向方位を変えることに成功した。引張試験の結果、結晶配向方位に依存したヤング率が示され、ヤング率異方性の発現と、<100>配向方位での低ヤング率化が認められた。 同時に、本手法ではlayer-by-layerでの造形により繰り返しの熱影響を受けることが不可避であるため、造形中での相変態(力学特性に大きく影響)に対する安定性の評価にも着手した。 「表面」に関しては、レーザを用いて付与した異方性パターンが、幹細胞の分化を制御する可能性を見出し、生体に働きかけるバイオマテリアル表面の獲得に向け前進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バルク・表面の両者において、顕著な進捗を得た。 バルクに関しては、Ti-X基合金において、絶対安定性の発現の解析に資する状況を既に見出すとともに、不安定β相による生体力学機能化(<100>配向化と当該配向方位での低ヤング率化)を達成した。同時に、繰り返しの熱影響に対する安定性についての評価法を確立し、それに基づいて熱影響に安定な組成の検討が今後可能となる。 表面に関しても、形態的な因子によって細胞の分化が制御されるという新たな知見を獲得し、論文投稿している。 以上の理由より、計画以上に伸展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオマテリアルとして重要なバルク特性であるヤング率について、β相安定性(ω相の析出)に基づいて組成依存性を明らかにするとともに、ヤング率の上昇を招くω相の析出抑制を試みる、公募班との連携により、ヤング率の異方性を明らかにし、骨バイオマテリアルとしてのポテンシャルを評価する。 表面の観点からは、前年度に細胞制御能が認められた表面形態が超温度場によて形成される機序を明らかにする。同時に、超温度場を用いた化学的修飾による生体活性能の付与を試みる。
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