2021 Fiscal Year Annual Research Report
Spatio-temporal multiscale modeling and forecast of slow and fast earthquakes
Project Area | Science of Slow to Fast Earthquakes |
Project/Area Number |
21H05206
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
松澤 孝紀 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 主任研究員 (90500744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 高峰 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震津波予測研究開発センター), センター長 (00359176)
井出 哲 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90292713)
金子 善宏 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10880255)
野田 朱美 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 研究官 (80793992)
野村 俊一 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 准教授(任期付) (70719640)
廣瀬 仁 神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (00465965)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | スロー地震 / 大規模計算 / 予測 / HPC |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチスケールモデリングの研究においては、大地震発生サイクルスケールでのスロースリップイベント(SSE)発生について、マルチノードのGPU環境で数値シミュレーション可能なプログラムの開発に取り組んだ。四国地域の既往の結果を用いてコードを検証するとともに、計算速度の向上を確認した。また、東北地方太平洋沖においては、地震の階層性をもった数値シミュレーション研究に着手した。これらの研究からは、地震・スロー地震の発生がばらつきをもった分布として得られるため、発生やスケール性の特徴に関し、観測との比較を含んだ議論への展開が期待される。 摩擦パラメターの不均質を含んだ動的モデルにより、マグニチュードと累積地震数の分布におけるb値を検討可能とする数値シミュレーション研究に着手した。これにより前震活動におけるb値の変化に関する理解が期待される。また過去の前震活動から、現在進行中の地震群が前震である確率を評価するモデルの構築に着手した。こうした前震活動の理解は、本震での高速すべりに至る過程の解明に寄与すると期待される。さらに、微動記録から低周波地震のグリーン関数を経験的に抽出する方法を開発した。低周波地震が微動の要素単位であることを示すとともに、こうして抽出されたグリーン関数は微動の過程を理解する上でも有用となることが期待される。南海トラフ沿いのプレート境界地震について、応力蓄積モデルによるエネルギーバランスに基づき、大地震の発生シナリオを構築した。このようなシナリオベースの予測研究は、災害対策に実践的に取り組む上での貢献も期待される。 GNSSおよび傾斜データに基づく南海トラフ深部のSSEの解析を行った。また、アナログ波形画像からデジタル地震計記録を抽出するための研究に着手した。これらの研究は、長期間のスロー地震挙動を解明するためのカタログ構築に寄与することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各分担者においては計画がおおむね順調に進展している。また計画初年度であるため、研究設備としてワークステーション等を購入するなど、環境の構築を行った。世界的な半導体不足により、ワークステーションの納品については当初予定より若干の遅れが生じたものの、年度内に導入できており、計画を大きく遅延させるものではない。また、初年度から雇用を計画していたポスドクについては、当初の採用予定者の辞退により遅れが生じたものの、繰り越し後の4月より実績ある研究者を採用することができ、着実に進捗している。新型コロナウイルスの流行が継続しており、対面での研究発表や議論は難しい状況であり、とくに海外学会での発表や議論の機会はごく限られていた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画調書に記載した方針で研究を継続して推進する。新型コロナウイルス対策の緩和に伴い、この数年十分でなかった対面での議論による、研究および領域の活発化を目指す。一方、班内での議論を行うため、定期的なオンラインのミーティングや、対面での集会の開催を予定している。大規模数値シミュレーション研究のための計算資源の確保は本課題において重要であり、グループメンバーによる大型計算機資源利用の公募も検討している。本プロジェクトの資金や各研究機関において利用可能な環境に、これを加えることで数値シミュレーション研究の加速が期待される。また、研究計画に提案した内容のうち公募研究で想定していた内容については、本班に関連して採択された件数は一件であったため、研究協力者としての協力を仰ぎつつ公募を見据えた研究に着手するととともに、R6-7年度の採択増加による研究の加速を目指す。
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Research Products
(18 results)