2022 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的有機反応の自動最適化のための反応モジュール開発
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
21H05214
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅 誠治 岡山大学, 自然科学学域, 教授 (50291430)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 触媒 / 電解反応 / フロー合成 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学的な触媒および電子あるいはホールを「触媒」として用い反応に着目し、本領域の核心であるAI支援による反応の迅速最適化のために、フローケミストリーを用いて、高い質と豊富な量のデータを得る方法を確立することを目的とする。触媒量の電気による酸化あるいは還元で駆動する反応については、これを確固たるサイエンス&テクノロジーに昇華することを主たる研究目的として研究を推進している。以下、令和4年度の実績を記す。 ①前年度に引き続き、昨年度に導入したインライン分析装置(ReactIR)を用いて、ネガティブデータを含めた大量かつ信頼性の高いデータをリアルタイムで取得するシステム構築に向けて検討を行い、システムを構築できた。 ②電子の授受により駆動する触媒型反応のための電解モジュールのブラシュアップと機械学習による反応最適化を引き続き行った。反応パラメータを連続的に変化させることのできる電解フロー反応を用いることにより、データを効率よく取得し、機械学習を用いて最短時間で反応の最適条件へと導く方法を開発した。具体的には、アルデヒド類に対するアセトニトリルの付加反応(シアノメチル化)について機械学習を用いて最適化するモデルの構築を試み、還元電位を指標にした反応条件の最適化モデルを構築した。 ③フロー電解システムを用いた、スチレンオキシドの異性化と生成するアルデヒドへのニトロメタンの連続的な付加反応を新たに見出し、この際、機械学習を利用した反応条件最適化も行った。また、Carbon-Ferrier転移反応が電解酸化(触媒量の電気)で進行することを見出し、機械学習を用いた反応最適を行った。新しい反応系としては、トリメチルシリルアセチレンのカルボニル化合物への触媒量の電気量を用いた還元的付加反応も見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電解フロー反応を用いてデータを効率よく取得する反応システムの構築と、機械学習を用いて最短時間で反応の最適条件へと導く方法を開発している。本年度は、アルデヒド類に対するアセトニトリルの付加反応(シアノメチル化)について機械学習を用いて最適化するモデルの構築を試み、還元電位を指標にした反応条件の最適化モデルを構築することができた。また、Carbon-Ferrier転移反応が電解酸化(触媒量の電気)で進行することを見出し、機械学習を用いた反応最適を行った。このように、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、スチレンオキシドの異性化(触媒量の電気による陽極酸化)と生成するアルデヒドへのニトロメタンの連続的な付加反応(触媒量の電気による陰極還元)を新たに見出した。この反応は連続的分子変換を得意とするフロー系の特長を生かしたものであり、これをベースとした多様な反応を行う予定である。また、これまでに研究室で見出している触媒量の電気量によるトリメチルシアニドとアルデヒドの反応と生成物の付加体の異性化を組み合わせた新たな反応にも取り組む予定である。これらの反応の最適化には機械学習を駆使し、フロー反応の最適化のための機械学習の有用性を示したい。さらに、フロー電解リアクターのさらなブラシュアップ、上記シアノメチル化反応の機械学習モデルのブラシュアップをA3班メンバーの協力のもと行う予定である。
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Research Products
(37 results)