2022 Fiscal Year Annual Research Report
データ駆動手法による素反応条件およびアウトプット予測と実証
Project Area | Digitalization-driven Transformative Organic Synthesis (Digi-TOS) |
Project/Area Number |
21H05223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松原 誠二郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (90190496)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 機械学習 / メチレン化 / 二亜鉛種 / 反応速度グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
有機反応開発後,もっとも必要とされるのは,その反応がどのように進行するか,すなわち,自分の必要な基質に適用した際に,どのような収率が得られるかという点である。それに適切な反応時間の情報が加われば極めて有用になる。我々が既に開発しているアルデヒドのWittig型メチレン化反応は,多くの物質変換に関して多用されている反応である。この反応の速度曲線を予測できるようにすれば,前述の二つの情報が同時に得られると着想した。そこで,27のアルデヒドに関して収率の時間変化のデータを収集し,速度曲線のデータを教師データとした。その曲線を関数に変換した上で,時間と収率の関係を求め,その係数の予測を分子記述子との関係で回帰分析した。その結果,任意のアルデヒドに対して,最高到達収率とそれに要する時間を同時に予測できるようになった。このことは,バッチ反応のデータから,フロー合成に展開した場合,フロー装置における滞留時間の設定に非常に有効であることも証明した。このように,速度式の予測という新分野を開拓することができるようになった。 また,進行中の研究であるが,実験手順の文章を生成系AIで処理し,ステップバイステップの手順に書き換えることが自動で行えることがわかった。この手順から自動合成へのプログラムへの直接変換が可能かどうか,現在検討を行っている。このことは,自動合成を行う上で,非常に重要な技術になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記したように,反応速度グラフの予測の成功例を提示できたことは,この研究で目標としている反応のアウトプット予測の面で,大きな進展といえる。ただ,反応を総合的にデジタル化しようとするDBの形成などが,あまり進展していない。この点を踏まえて,(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向性は以下の2点である。 1)現在成果を得ている反応速度グラフの予測を発展させる。具体的には多官能基化基質の位置選択性を予測すること。また,自分たちの反応データではなく,既存の文献データで試みることである。 2)実験手順の自動読み出し,その手順のアノテーションにより新たなデータベースを形成することである。具体的には,論文のSIは,現段階でオープンアクセスであり,重要なデータソースとして非常に興味深い。この文章をChat-GPTのような生成系AIで処理すると,文書が簡単な手順書になることを確認している。この手順書から自動合成のプログラムの生成を行うことと,アノーテーションを行いプロセスデータベースとすることを予定している。
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Research Products
(7 results)