2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of cross-scale In-cell AFM technique for elucidating intra-cellular molecular structures and dynamics
Project Area | New cross-scale biology |
Project/Area Number |
21H05251
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福間 剛士 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (90452094)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、In-Cell AFM技術の開発とそれを用いた細胞内生命現象の研究に取り組む。初年度である今年は、以下の課題に取り組んだ。まず、技術開発においては、光学顕微鏡技術とIn-Cell AFMの融合を目指して、水上/藤原班の藤原先生(京大iCeMS)の協力を得て、In-Cell AFMにTIRF顕微鏡を導入した。また、その応用対象としてFocal Adhesionの形成・崩壊過程の同時観察という目標を定めた。さらに、In-Cell AFMによりFocal Adhesionの崩壊過程が計測できることを確認した。一方で、In-Cell AFMにより細胞核の硬さを直接測定し、がん悪性化に伴って細胞核が硬くなることを明らかにした。この原因として、ラミンAおよびヘテロクロマチンの増大を示唆するデータを取得しており、杉田班の協力により、それらの違いを再現する細胞モデリングを実施してもらっている。 その他に、高速AFMを用いたin-vitroでの計測にも取り組んだ。仁田班と共同で、チューブリンが形成する、リング、プロトフィラメント、シート、微小管、微小管アスターなどの多様な集合体の形成過程とそれに与えるCamsup2の影響を明らかにするために、その高速AFMによる観察条件を検討した。マイカ上で、リング状構造が観察されたがこれはマイカ基板との静電相互作用の影響が強いことが分かり、脂質膜を展開した基板に切り替えた。脂質膜上では、Camsup2の存在下で、プロトフィラメントが集まってシートが形成される過程や、チューブリンの濃度を増加させると微小管や微小管アスターが形成されることも確認できた。また、田中班と共同でアミロイド繊維の脱凝集過程の高速AFM観察にも取り組んだ。現状では、観察条件の最適化ができていない部分はあるが、Hspタンパクとアミロイド繊維が相互作用する様子が確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、In-Cell AFMを使った細胞内計測技術の開発と、それを用いた様々な細胞内現象の研究に取り組む予定であった。初年度である今年は、技術開発側の目標は、蛍光顕微鏡とAFMの複合化であったが、水上班と共同でTIRF顕微鏡とAFMを組み合わせることができた。さらに、その応用テーマとして、接着斑の形成/崩壊過程の同時観察という具体的なテーマも設定することができた。一方、領域内の連携としても技術班である水上班、杉田班との連携テーマを設定することができた。また、生物班の連携としても、仁田班とはチューブリンの集合体形成に関して、田中班とはアミロイド繊維の脱凝集過程について、具体的に実験を開始できた。また、稲葉班とはER/ゴルジ体の細胞内観察について、倉永班とはハエのウィングディスク組織の硬さ測定について、共同研究テーマを具体的に設定することができた。以上の通り、領域内の数多くの技術班、応用班との連携テーマを具体的に設定し、一部では観察結果も得られつつあり、初年度の半年間の進捗としては、計画した以上の進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
技術開発では、本年度開発したTIRF/AFM複合装置によって、水上班と共同で、接着斑の崩壊過程の同時観察を実現する。また、杉田班と共同で、細胞内での細胞核測定によって得られたがん進展による硬さ変化を再現したモデリングを実施する。また、このテーマについては、来年度中にデータをまとめて論文発表したい。吉川班とはまだ連携テーマを設定できていないので、例えば電顕の画像処理方法をAFM画像の解析に応用できないかという点について、具体的に相談し、計画を進める。 応用研究については、引き続き、仁田班、田中班との連携研究を推進する。一方、前年度に計画を立案した稲葉班と倉永班との共同研究も本格的に実施する。また、山本班との共同研究についても、オートファジーに関する液滴の硬さ測定を実施する方向で事前相談はできているが、具体的な計画を立案して実施する。
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Research Products
(23 results)