2021 Fiscal Year Annual Research Report
クロススケール細胞内分子構造動態解析が解明する選択的オートファジー始動メカニズム
Project Area | New cross-scale biology |
Project/Area Number |
21H05256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 林 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (80551283)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | クロススケール / メゾ複雑体 / マクロオートファジー / ミクロオートファジー / LLPS / 液滴 / Fluidophagy / メゾスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) オートファゴソーム膜変形を促す因子のIn-cell、On-membrane解析 鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンがNCOA4とともに液滴形成し、マクロオートファジーとミクロオートファジーの共通基質になることを明らかにした。フェリチン-NCOA4液滴が、NCOA4の二量体形成、NCOA4-FTH1相互作用、フェリチン24量体形成によって形成されることを見出した(bioRxiv掲載、論文投稿中)。フェリチン液滴が膜と相互作用する際の各因子の詳細局在をin-cellで解析するため、CRISPR法による各種ノックイン細胞を作成し、機能解析を行っている。 (2) 2つのオートファジーでの「仕分け」と選択的オートファジー始動メカニズムの解析 TAX1BP1-NCOA4相互作用により、フェリチン液滴がマクロオートファジーとミクロオートファジーの両経路で認識されることを明らかにした。STX17TM誘導性発現細胞およびRAB5Q79L誘導性発現細胞を用いて、2つのオートファジーへの仕分け・分岐後に蛍光顕微鏡観察を行い、それぞれの経路に必要な因子の簡易スクリーニングを行い、仕分けに関わる因子を同定した。また、TAX1BP1の機能解析を行い、ATG9小胞のリクルートに関わるTAX1BP1相互作用因子を同定した。 (3) 新規蛍光プローブを利用した液滴オートファジー定量法とスクリーニング系の確立 領域内共同研究で開発されたpH応答性蛍光プローブをHaloTagで導入し、選択的オートファジーおよび液滴オートファジーの新規スクリーニング系を立ち上げた。また、HaloTagを利用した新規オートファジー活性定量法を確立した(bioRxiv掲載、論文投稿中)。他に領域内共同研究で、新規手法によるマイトファジー誘導実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液滴オートファジーのin-cell解析に向けて必要なノックイン細胞を作成し、計画に合わせて研究を進められている(ただし、いくつかのコンストラクトではオートファジー機能低下が見られたため、これらの細胞については代替案が必要となる)。また、フェリチン液滴形成のメカニズム解明や新規オートファジー活性定量法の確立のほかにも、TAX1BP1相互作用因子の同定など、新たな展開もあり、研究全体としておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本領域研究の目標である液滴オートファジーのin-cell解析を行うため、in-cell AFMなどの領域内共同研究を進める。フェリチン液滴オートファジー(マクロオートファジー、ミクロオートファジー)の分子メカニズムを明らかにし、特にミクロオートファジーでの取り込みメカニズムを関連タンパク質レベルで明らかにする。さらに、ミクロオートファジーでエンドソームに取り込まれた後で分解と分泌に分岐する過程についても新たに研究展開し、液滴基質のエクソソーム分泌という新たなコンセプト創出を目指す。
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Research Products
(2 results)