2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic elucidation of non-domain type biopolymer modifications
Project Area | Biology of Non-domain Biopolymer |
Project/Area Number |
21H05280
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾山 大明 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30422398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健夫 琉球大学, 医学研究科, 教授 (90533125)
秦 裕子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門員 (80401256)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、全長にわたって天然変性領域から成り、一次配列への機能依存性が低い超天然変性タンパク質や、非翻訳領域と考えられていたRNA配列がコードする新規ORF由来のタンパク質など、従来のタンパク質の概念の枠組みを超えた遺伝子産物の存在が次々と明らかになってきている。タンパク質の一部又は全体が特定の立体構造を持たない天然変性タンパク質の存在は以前から知られていたが、立体構造の検証が困難なことから長年、他の分子との相互作用に関する綿密な議論が進まない状況が続いていた。しかしながら、NMR等を用いた詳細な解析により、転写制御を担う主要分子群であるCREBやp53の天然変性領域が重要な機能的役割を果たすことが報告され、細胞内でのタンパク質-タンパク質相互作用、あるいはタンパク質-RNA相互作用における、特定の構造を取りにくい「非ドメイン型」配列を介した分子間相互作用研究の重要性が急速に高まっている。 本年度は、リボソームプロファイリングによって規定される非典型ORF群の大規模配列情報から、Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析システムのReal Time Searchプラットフォームに基づいて実際に細胞内で翻訳されている未知タンパク質群を大規模に検出する分析系を新たに構築し、代表的な癌細胞株における薬剤依存的動態解析を行った。また、近位依存性ビオチン標識法(BioID法)などによる近接分子群のラベル化に基づくインタラクトーム解析技術を用いて領域内共同研究を広範に実施し、多様な研究課題に対して非ドメイン型タンパク質・RNAに関する相互作用データを高深度に取得する解析パイプラインを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リボソームプロファイリングによって規定される非典型ORF群の大規模配列情報から実際に細胞内で翻訳されている未知タンパク質を大規模に検出する分析系を新たに構築し、癌細胞における薬剤依存的な翻訳制御動態に関する高深度プロテオーム解析を行った。また、領域内外との共同研究を広範に実施し、得られた研究成果について論文発表やプレスリリースを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当研究領域で見出されたHeroタンパク質やクマムシ特異的タンパク質をはじめ、リボソームプロファイリングによって規定される非典型ORF群がコードする非ドメイン型タンパク質やarcRNAに代表される非ドメイン型RNAに関して、Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析システムによる超高感度質量分析により包括的に分子修飾を同定すると共に、被修飾部位ごとの機能的役割について精密な動態分析を行い、非ドメイン型バイオポリマー特有の分子制御に資する分子修飾機構を、修飾部位レベルの解像度で精密に議論することが可能な解析プラットフォームを確立する。
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Research Products
(13 results)