2021 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic Analysis of Dynamics inside Ant-Colonies through Long-Term Measurement with Individual Identification
Project Area | Hierarchical Bio-Navigation Integrating Cyber-Physical Space |
Project/Area Number |
21H05297
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西森 拓 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任教授 (50237749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 允梓 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任准教授 (20632144)
山中 治 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員 (20868484)
古藤 日子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80583997)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | アリコロニー / 全個体自動計測 / ナビゲーション / 数理モデル / 自己組織化 / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基本目標は、多角的にアリの社会行動を捉え、組織的行動の一般論構築の端緒とすることである。そのために、これまでに構築してきたRFIDタグによる個体識別行動計測システムを拡張し、並行して、従来の社会性昆虫の集団の振る舞いに関する理論解析手法を発展させ、両者を随時比較検討することで基本目標の達成を目指す。 初年度の2021年度は、行動計測手法の整備(項目A)、組織行動発現の数理モデリング(項目B)の観点から研究計画を十全に始動させることを意図した。 項目Aでは、コロナ禍のため、当初計画したアリのコロニーの採取が進まず、また、計測系部品の生産と輸入が滞り、予算の繰越が2022年度まで及ぶという異常事態となった。そのため、2021年度は、理論解析中心の以下の項目Bに重点を置いた。具体的には、役割分業の従来の理論モデル(反応閾値モデル)を発展させる研究(B1)と、アリの活動リズムに関するデータ解析(B2)を進めた。B1では、アリの自律分業のモデルとして広く認知された反応閾値モデルを状態遷移型モデルから、タスク活動度分布の時間発展方程式の形に書き換えた。これによって、従来定性的な議論にとどまっていたアリのタスク分業に関する知見、例えば、これまで実測が可能でなかった各アリの反応閾値分布を条件付きで推定できるようになった。B2では、実験室で少数(1-2匹)のアリ(クロオオアリ)を配置した場合の概日活動リズムの特徴を調べ、単複性(1匹/2匹)と実験前の役割(内勤/外勤)に依存して概日活動リズムの発現度や減衰度に顕著な違いがあることを明らかにした。 2022年度は、計測系部品が徐々に手に入り、項目Aも開始した。2次元バーコードによる巣箱内や餌場での行動軌跡を計測するシステムと組み合わせマルチモーダルな観測システムの確立に取り組み、より詳細な行動と統計的性質との関係の解明を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍と半導体不足の影響により、観測システムの開発に必要な機材の購入が当初の予定(2021年度内)よりも大幅に遅れてしまったが、予算繰越がなされた2022年度には、予定に近い段階にまで開発を進めて、基本的な行動計測を可能にすることができる段階にすることができた。2次元バーコードによる行動計測システムは、高性能産業カメラを用いてアリの背中に添付する画像を解析するシステムである。この行動計測システムを開発には一般産業用カメラをアリを計測するためのシステムに最適化する必要がある。画像情報を得るプロセスは、導入したカメラによるAPIを用いて順調に進んだが、アリの行動計測として十分な観測頻度や画質、得られた超高解像度データの処理方法など最適化することでより長い時間の計測をするための検証を進めている。RFIDによる計測システムにより得られた観測データと対比を進めていくためにも、現在数時間程度まで可能になっている計測時間をより長時間にするためのシステムの開発が必要になる。 理論的なアプローチとしては、アリの自律分業のモデルとして広く認知された反応閾値モデルを状態遷移型モデルから、タスク活動度分布の時間発展方程式の形に書き換えた。これによって、従来定性的な議論にとどまっていたアリのタスク分業に関する知見、例えば、これまで実測が可能でなかった各アリの反応閾値分布を条件付きで推定できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍と半導体不足の影響により、観測システムの開発に必要な機材の購入が当初の予定(2021年度内)よりも大幅に遅れてしまったが、予算繰越がなされた2022年度には、予定に近い段階にまで開発を進めて、基本的な行動計測を可能にすることができる段階にすることができた。2次元バーコードによる行動計測システムは、高性能産業カメラを用いてアリの背中に添付する画像を解析するシステムである。この行動計測システムを開発には一般産業用カメラをアリを計測するためのシステムに最適化する必要がある。画像情報を得るプロセスは、導入したカメラによるAPIを用いて順調に進んだが、アリの行動計測として十分な観測頻度や画質、得られた超高解像度データの処理方法など最適化することでより長い時間の計測をするための検証を進めている。RFIDによる計測システムにより得られた観測データと対比を進めていくためにも、現在数時間程度まで可能になっている計測時間をより長時間にするためのシステムの開発が必要になる。
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Research Products
(6 results)