2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the chemotactic response of sperm in a dioramic environment
Project Area | Advanced mechanics of cell behavior shapes formal algorithm of protozoan smartness awoken in giorama conditions. |
Project/Area Number |
21H05304
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴 小菊 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70533561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 一男 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80221779)
守田 昌哉 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (80535302)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 精子運動 / 鞭毛波形 / 精子走化性 / CNGチャネル / カルシウムシグナリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本領域では、細胞レベルで発現する巧みな環境・状況適応能力の探索、理解を目的としており、本計画研究においては卓越した運動能力を持つ精子に着目し、研究を実施している。精子は、さまざまな外的環境因子に対して多様な応答を示し、受精という最終目標に到達する。精子走化性応答に着目し、誘引物質濃度勾配存在下におけるカタユウレイボヤ精子の運動、遊泳方向変換をもたらす鞭毛波形変化、シグナル受容を測定し、応答メカニズムの解析を行った。またサンゴ、魚類、巻貝に関する生殖戦略、精子運動制御機構に関する研究を分担者と協力して進めた。領域内の他班とともに、3次元的な精子遊泳を解析するためのシステム構築や精子走化性遊泳のシミュレーション、アルゴリズム構築に関する取り組みを開始した。 研究成果としては、代表者柴、分担者稲葉らはサイクリックヌクレオチド感受性(CNG:cyclic nucleotide gated)チャネルの精子走化性シグナリング経路への関与を解析した結果をInternational Journal of Molecular Sciences誌に発表した。ホヤ精巣において高発現している二種類のCNGチャネル両方が精子鞭毛に局在すること、特異的な阻害剤により精子走化性が抑制され、精子走化性に必須である鞭毛の非対称波、対称波形成はみられるものの安定した波形持続ができないことにより正常な遊泳方向変換ができないこと、遊泳方向変換時のカルシウム流入が過剰に起こることを明らかにした。また鞭毛繊毛の波形解析技術や構造解析技術を応用した共同研究の成果をBMC Zoology誌、Zoological Science誌に発表した。分担者の守田らはサンゴ種分化に関する解析結果をScientific reports誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ジオラマ環境下における精子走化性の応答計測とメカニズムの解明」を研究課題とし、研究代表者らによって分子機構の解明が進んでいるホヤ精子の応答解析を基盤とし、サンゴ、巻貝、魚類を含めた海産生物精子の運動制御機構について研究を進めている。今年度はホヤ精子走化性シグナリングに関わる因子でるCNGチャネルの解析を行うことにより精子走化性における遊泳方向変換を正しいタイミングで誘導するためのシグナリング経路および鞭毛波制御の分子機構において新たな知見が得られた。海洋生態系において重要な役割を持つサンゴの種分化に関する解析結果を報告した。また巻貝の精子二型、魚類の生殖進化に関わる解析も進めている。また領域他班との連携を開始し、精子遊泳の3Dトラッキングシステムの構築、精子走化性遊泳のアルゴリズム構築に取り組んだ。 新型コロナウィルスの影響により、納入予定だったカメラやシステムの導入に遅れが生じたが、よりよいシステムのための検討や予備実験などを実施して来年度の計測、解析に向けた準備を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究代表者が確立してきたシステムにより、走化性応答時のホヤ精子の遊泳軌跡変化と細胞内カルシウム濃度変化を同時に解析することでホヤ精子が誘引物質を感知してから鞭毛運動を変化させ方向変換を引き起こす全過程を追うことが可能である。これらの実験系で得られた画像、遊泳軌跡、波形、細胞内カルシウム濃度のデータを領域内他班に提供し、精子走化性応答の数理モデル化、シミュレーションを依頼する。適切なパラメータ抽出のためのデータ取得、解析の効率化についても技術協力を依頼し共同で検討を行う。時空間的に高速に変化する鞭毛波特性を数値化し、同時に捉えた細胞内シグナル(カルシウム濃度)と比較することによって、精子遊泳方向変換制御機構においてこれまで検出不可能だった分子機構が明らかとなることが期待される。 ホヤ以外の生物種の精子運動、受精メカニズムの解明についても引き続き分担者と協力して解析を進める予定である。
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Research Products
(20 results)
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[Book] 毛2021
Author(s)
稲葉一男
Total Pages
280
Publisher
光文社
ISBN
978-4-334-04574-6
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