2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the accumulation algorithm of noxious red-tide algae in dioramic and panoramic environments.
Project Area | Advanced mechanics of cell behavior shapes formal algorithm of protozoan smartness awoken in giorama conditions. |
Project/Area Number |
21H05305
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
紫加田 知幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (40603048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 光貴 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 任期付研究員 (00898984)
西山 佳孝 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30281588)
北辻 さほ 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (30638713)
吉川 裕 京都大学, 理学研究科, 教授 (40346854)
鬼塚 剛 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), グループ長 (40399647)
青木 一弘 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (50565570)
高橋 文雄 立命館大学, 生命科学部, 講師 (60332318)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 赤潮 / 鞭毛 / 日周鉛直移動 / 海洋物理モデル / 栄養欠乏 / 光環境 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、室内において、赤潮藻の運動パラメータと生理パラメータ間のアルゴリズム構築に向け、基礎情報の収集や解析手法の改良・開発を進めた。まず、赤潮ラフィド藻Chattonella marina complexを対象として、日周鉛直移動のパターンに影響を与えることが示唆されている栄養欠乏条件において、細胞密度、光合成活性および細胞内外の栄養塩濃度の経日変化を解析し、細胞が栄養欠乏状態に陥るまでの時間や生理状態変化等の基礎情報を得た。また、本種を異なる波長および明暗周期の光条件で培養し、鞭毛長と遊泳の関係を解析した結果、遊泳速度は光波長依存性があることや日変化する鞭毛長と正の相関があることなどを見出した。さらに、Chattonellaと赤潮渦鞭毛藻Karenia mikimotoiを対象に、遊泳運動に関与する可能性のある、酸化還元レベルの指標NADPH/NADP、エネルギーレベルの指標ATP/ADPの定量解析法および細胞内油滴の観察法を開発した。 他方、流体の乱流現象を高精度に表現する海洋物理モデル(LES:Large Eddy Simulation)に、赤潮藻を模した仮想粒子の挙動を表現する粒子追跡モデルを組み込み、水温成層と海上風を与えた試行計算を行った。まず、従来のモデルコードを見直し、ベクトル化を進めることで計算時間の大幅な短縮に成功した。また、赤潮藻が一定の上昇・下降速度による日周鉛直移動を行う場合に、乱流場の影響を受けて、極大層深度の変化や水平的な分布偏在が起こることを確認した。また、八代海の過去の音響散乱強度データを整理し、K. mikimotoiが栄養塩枯渇時に鉛直移動を停止し、低深度層に偏在していた可能性を見出した。同時期・同水深帯に風による強流発生もみられ、鉛直移動停止が赤潮発生域拡大に寄与したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、当初計画通り、研究を効率よく推進するための準備、基礎的なデータの取得やデータ解析を実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度に引き続き、国内で多大な被害をもたらしているChattonellaおよびK. mikimotoiを対象として、室内で鉛直移動パラメータと強く相関する生理パラメータを探索しながら、両者間の関係式の導出を目指す。既往知見から鉛直移動パターンに多大な影響を与えることが知られている栄養や塩分などの環境条件下で、光合成活性などの基本的な生理パラメータを昼夜連続で計測し、それらの日周変動を把握する。生理パラメータとして、細胞内の生理状態を表す遺伝子発現量も対象とし、特に鞭毛運動に関連する遺伝子に注目して解析する。また、他班と協力して室内実験を行い、鉛直移動に及ぼす乱流混合の影響など物理プロセスの影響についてもデータを取得する。 他方、前年度に引き続き、既存の日周鉛直移動(定数)を組み込んだ仮想粒子の挙動をシミュレーションする。赤潮が発生する夏季の環境条件(成層・風)を与えた計算によって、海洋表層の物理過程や日周鉛直移動の違いで変化する仮想粒子の水平・鉛直分布と集積度を評価する。また、シミュレーションの検証に向けて、過去の八代海における赤潮藻類の発生時の多項目水質計のデータや音響式多層流速計データを整理し、実環境中における上記二種の日周鉛直移動と環境条件の関係を解析する。さらに、八代海や佐伯湾で赤潮が発生した場合はこれまでに蓄積が少ない日周鉛直移動の観測と生理パラメータ取得を同時に実施するとともに、前年度に新規導入した流速計の動作検証や取り付け器具の試験を実施し、現場海洋で乱流強度を高精度に計測する。
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Research Products
(11 results)