2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the accumulation algorithm of noxious red-tide algae in dioramic and panoramic environments.
Project Area | Advanced mechanics of cell behavior shapes formal algorithm of protozoan smartness awoken in giorama conditions. |
Project/Area Number |
21H05305
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
紫加田 知幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (40603048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 光貴 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 任期付研究員 (00898984)
西山 佳孝 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30281588)
北辻 さほ 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (30638713)
吉川 裕 京都大学, 理学研究科, 教授 (40346854)
鬼塚 剛 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), グループ長 (40399647)
青木 一弘 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (50565570)
内山 郁夫 基礎生物学研究所, ゲノム情報研究室, 准教授 (90243089)
杉松 宏一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (10710923)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 赤潮 / 栄養塩 / 光 / 株 / 海洋物理モデル / 風 / パッチ / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、室内実験と現場データの解析により、赤潮藻の鉛直移動に影響する要因を探索した。上方から異なる強度の光を渦鞭毛藻Karenia mikimotoiに照射した結果、125μmol m-2 s-1以上で下降し、光強度依存的に逃避速度が上昇した。2022年夏の伊勢湾の自動昇降式水質計データを解析した結果、赤潮発生期間中の日中、本種は約100μmol m-2 s-1が到達する深度で集積していたことが判明した。これらのことから、本種の集積深度は光強度に強く影響されることが示された。他方、室内で本種の日周鉛直移動を観察しながら24時間3時間おきに細胞を回収して、RNA-seq解析に供した。 ラフィド藻Chattonellaの一部の培養株は一日中表層に集積し、夜間の下降行動が認められなかった。また、明確な鉛直移動を示す培養株についても、高い細胞密度や栄養塩欠乏の条件下で鉛直移動が不明瞭になった。これらのことから、本種の日周鉛直移動には株構成、細胞密度、栄養条件が影響することが示唆された。 他方、海洋物理モデル(LES:Large Eddy Simulation)を用いて、赤潮が発生する夏季の環境条件(成層・風)を与え、赤潮藻を模した仮想粒子の挙動を解析した。日周鉛直移動する仮想粒子の上昇下降開始時刻は定数とし、遊泳速度は3種の赤潮藻(Chattonella、K. mikimotoi、 Cochlodinium polykrikoides)の文献値を適用した。風が強くなると、鉛直集積度が低下するとともに、自泳速度のみから推定される分布深度との差が大きくなることが分かった。また、弱風時に海洋表層の物理過程と鉛直遊泳のバランスで起こる水平集積は、遊泳速度が大きいほど形成されやすいことが分かった。以上の結果から、赤潮藻の集積には風速と遊泳速度が多大に影響することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画はコンプリートし、今後の方針も明確であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、室内外で実験を行って、赤潮藻の鉛直移動パラメータ(上昇下降開始時刻、遊泳速度など)と強く相関する要因を探索しながら、両者間の関係式の導出を進める。また、これまでの室内実験は群レベルでの解析のみであったが、細胞レベルの観察を行って、行動パターンの理解を深化させる。さらに、遊泳観察を行いながら、光や栄養条件で変化し、株間でバリエーションがあることが知られている、細胞形態、油滴量、糖含量や発現遺伝子といった生理パラメータを昼夜連続で計測し、鉛直移動や集積との関係性を明らかにする。また、他班と協力して室内実験を行い、鉛直移動に及ぼす乱流混合の影響を解析するともに、八代海等で乱流強度を高精度に計測し、現場海洋の乱流パラメータを取得する。 他方、これまでに室内外で得られた異なる環境条件下での日周鉛直移動を組み込んだ仮想粒子の挙動をシミュレーションする。成層や風に光、栄養塩などを付加し、海洋表層の物理過程や日周鉛直移動の違いで変化する仮想粒子の水平・鉛直分布と集積度を評価する。また、シミュレーションの検証に向けて、過去の八代海等における赤潮藻類の発生時の多項目水質計のデータや音響式多層流速計データを整理し、実環境中における赤潮藻の日周鉛直移動と環境条件の関係を解析する。
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Research Products
(16 results)