2022 Fiscal Year Annual Research Report
Heuristic algorithm of exploration and exploitation to the space geometry in ciliates and amoebae
Project Area | Advanced mechanics of cell behavior shapes formal algorithm of protozoan smartness awoken in giorama conditions. |
Project/Area Number |
21H05310
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70300887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棟朝 雅晴 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (00281783)
田中 良巳 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (10315830)
國田 樹 琉球大学, 工学部, 准教授 (20645478)
佐藤 勝彦 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90513622)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | 物理行動学 / 原生生物 / ジオラマ環境 / 数理モデリング / 原生知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の成す知能情報処理は、単細胞生物に端を発する天与の情報処理手法として情報技術にヒントを与えるいわば宝の山である。真核単細胞生物、いわゆる原生生物に見られる行動知の探究は、その根源を問うものである。本研究では、ほふく性アメーバの集団交通ネットワークと遊泳性繊毛虫の集団移動に焦点を当て、どちらも空間の幾何学的形状に適応的であることから、空間の探査と活用性能について、原生生物の知能のアルゴリズムを定式化し、工学的に利用可能な形まで具体化することを目指す。 以下の成果を得た。 (1) 多彩な空間構造に適応したコロニーと輸送網の共発展について、粘菌とヒトの比較行動学的見地より、集住地の形成とそこをつなぐ輸送網の発達モデルを構成した。ケーススタディとしてイタリアを取り上げ、地形要因の効果を検証し誌上発表した。(2) 粘菌の体内循環輸送網の流体力学的特性、とくに物質の混合性を、体全域の流速度場計測にもとづく仮想粒子混合シミュレーションを実施した。(3) 粘菌のネットワーク最適化から読み解く樹木の力学構造、特に振動エネルギーの巧みな散逸機構に注目して、フィールドにて複数の樹種で揺動実験を実施した。(4) 繊毛虫ラッパムシの狭小空間選好性を実験的に評価し、特定の形状の狭小空間を選択できることを発見し、誌上発表した。(5) 這い回る運動の基本的な力学機構を追求するために、アメーバ運動における細胞膜面の動態を立体的に計測し、膜にシワができたり伸びたりすることを突き止めた。その成果を誌上発表した。(6) 細胞の3次元形態を考慮した細胞シートの集団運動模型を構築し、タイトに結合した細胞同士がどのような力学機構で運動するかを解明し、誌上発表した。 以上の研究成果を、国際学会(GRC)や国内招待講演で発表するとともに、NHKの科学啓蒙番組サイエンスゼロや新聞報道を通じて広報活動にも注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した実施計画を概ね実施できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 多彩な空間構造に適応したコロニーと輸送網の共発展について、粘菌とヒトの比較行動学的見地より、大規模地理データを取り込んだ社会動態モデリングをイタリアとは別地域で実施する。(2) 粘菌の体内循環輸送網と真菌/動物/植物の体内輸送網を比較検討するために、動物血管系で知られるマレーの法則(管の分岐前後太さのスケーリング則)を軸に輸送特性を評価する。(3) 粘菌のネットワーク最適化から読み解く樹木の力学構造、特に振動エネルギーの巧みな散逸機構に注目した実験結果を理論的に考察し、力学模型を構成する。(4) 繊毛虫や精子がしばしば旋回遊泳することに注目して、旋回遊泳による走性発現の力学的な一般的特性について理論的かつ実験的に研究する。(5) 繊毛虫テトラヒメナが行う空間形状依存的な集団運動を実験的に特徴付ける。(6) 多様な生物種の原生知能を探索するために、これまで行動研究が行われていない原生生物を野外から採集し培養方法を試行錯誤する。
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Research Products
(18 results)