2012 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Human Learning Behavior Based on Fieldwork Among Hunter-Gatherers
Project Area | Replacement of Neanderthals by Homo sapiens: testing evolutionary models of learning |
Project/Area Number |
22101003
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
寺嶋 秀明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10135098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 正 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (50242889)
窪田 幸子 神戸大学, その他の研究科, 教授 (80268507)
今村 薫 名古屋学院大学, 経済学部, 教授 (40288444)
大村 敬一 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (40261250)
亀井 伸孝 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (50388724)
山上 栄子 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (40517380)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 狩猟採集民 / 子ども / 学習 / 遊び / 創造性 / 社会進化 / 遊び集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,文化人類学および発達心理学・教育心理学的手法によって狩猟採集民の子供の学習行動、特に遊びと呼ばれるような行動を通した日々の学習行動の実態を把握し、新人の学習行動の特性を解明しようとするものである。 平成24年度は昨年度に引き続き,次にあげる諸民族について現地調査ならびに文献調査,そして理論的考察を行った。バカピグミーについては,狩猟採集生活と遊び集団を中心とした子供の諸活動の観察を行い、また心理学的な実験も含めて,学習と創造性発現の実態を調査した(小山・亀井・林・園田)。アカピグミーについては,子どものナチュラル・ペダゴジー的学習(Barry Hewlett),思春期と創造的学習との関係(Bonnie Hewlett),及び狩猟採集民と農耕民の社会学習の相違(Adam Boyette)を明らかにしれた。ブッシュマンでは遊び(今村)や,踊りの場での学習(高田)の有効性を確かめた。オーストラリア原住民では成人儀礼による社会教育の実践(窪田),カナダ・イヌイトではからかいを手段とする教育実践が明らかになった。これらの成果を組み込んで理論的研究を行い,ヒトの学習行動の進化的モデル(寺嶋)と学習の論理階型的発展モデル(大村)の作成が進められた。 交替劇の他班との積極的な共同研究を実施した。A01(考古班)とは物の贈与を介した教示・学習について共同調査を実施し,B01(遺伝モデル班)とは学習モデルと現実の擦り合わせについて,C02(脳機能班)とは,創造性と脳機能の関連の実証的実験方法に関して共同研究を進めた。またこれまでの成果,計画の進捗に関して6月に「中間報告書」を作成し,11月には「交替劇」全体で国際会議(東京)を開催し,これまでの研究成果を世界に発信した。12月には東京で一般講演会を開催し,狩猟採集民と学習について5名の班員が講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度における文化人類学および心理学についての現地調査は,ほぼ当初の予定通りに順調に進んだ。カナダ・イヌイトやオーストラリア原住民調査には,追加調査として研究者の海外派遣(イヌイト調査:スチュアート・ヘンリ[放送大学]。オーストラリア原住民調査:寺嶋,早木,堀内史郎[芝浦工業大学],石井龍他[東京大学],中村雄紀[明治大学])も実施し,興味深いデータをそれぞれのフィールドから持ち帰ることができた。招待研究の山内太郎北大准教授のグループとの共同研究もスムーズに行われ,大きな成果を上げることができた。また,学習の進化に関する理論研究についても,フィールドからの新知見を組み込みながら綿密な共同研究を重ねており,学習をより大きな視野からとらえることができるようになった。年度末には総合的報告書として「交替劇A-02班研究報告書 No.3」を刊行した。 前年度までの問題点は他班との共同研究の遅れであったが,本年度はA01(考古学班),B01(理論モデル班),C02(脳機能・イメージング班)との共同研究を押し進めることができた。フィールドでの共同調査(林,園田,石井,中村)や国際シンポジウムでの共同発表(窪田&堀内)はその成果の一部である。今後さらに広範囲な連携を構築し,交替劇全体の統合的進展を画す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
文化人類学と心理学を中心として,フィールドワークと学際的理論研究を展開し,交替劇領域の発展のための研究を押し進める。A01(考古学班)やB01(学習モデル構築班),B02(古環境学班),さらにC02(脳機能・イメージング班)とのさまざまな連携研究を強化する。当班が「交替劇」全体のハブとなって学習仮説の統合的推進を図り,交替劇の真相の解明を目指す。
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Research Products
(38 results)