2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Bulk Nanostructured Metals -New Metallurgy of Novel Structural Materials |
Project/Area Number |
22102003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾方 成信 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20273584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 正憲 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 上席研究員 (60344157)
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Keywords | バルクナノメタル / 第一原理計算 / 力学物性 / マルチスケール解析 / 粒界 / 積層欠陥 / 転位 / 不純物 |
Research Abstract |
本年度は、以下に列挙する基礎物性設計指針の確立に向けたより具体的な問題に取り組むとともに、 (1)前年度開発した第一原理電子状態計算における局所応力解析をさらに発展させ、応力を評価する領域を最適化することにより、粒界部での局所応力解析の精度を飛躍的に高めることができた.また、局所エネルギーを計算する枠組みを構築した。このことによりAl、Cu中めねじり粒界、傾角粒界の強度の起源を電子論から明らかにすることに成功した。 (2)バルクナノメタル(Cu、Ni結晶)の高温でのクリープ変形挙動の分子動力学法を用いた解析を実施し、変形時の結晶内部の原子挙動を詳細に検討することで、変形メカニズムが応力によって拡散によるものから転位によるものへと遷移することを確かめた。さらには、温度および応力によって変形メカニズムがどう変化するかの変形メカニズムマップを構築した。また、速度論に基づく考察から、クリープ変形時に得られるひずみ速度が、活性化体積の異なる粒界拡散、粒界移動、転位生成の3つの素過程の線形重ね合わせでほぼ説明できることを明らかにし、バルクナノメタルの変形の温度、ひずみ速度依存性に関して明確な説明を与えることに成功した。 (3)フェーズフィールド解析法を多結晶モデルを扱えるように拡張し、き裂、粒界、転位、溶質原子の拡散を同時に解析できる枠組みを構築した。この枠組みを用いて、多結晶体中のき裂進展やき裂先端からの転位放出挙動の温度依存性などを解析することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子状態計算に関してその計算の規模が大きく調査対象の材料が当初よりやや限られてしまっているが、一方で3年目以降に実施する予定であったフェーズフィールド解析が実施可能になった点は予定よりも進んでいる。総合して、おおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大きな変更や研究遂行上の問題点もなく、順調に進捗していることから、今後も当初の予定どおり、バルクナノメタルのユニバーサルな基礎物性設計に向けて、研究を進めていく。なお、今後は実験グループとさらに連携を深め、計算結果と実験結果との摺合せを今まで以上に行うことにより、研究進展の加速を期する。
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Research Products
(35 results)