2013 Fiscal Year Annual Research Report
バルクナノメタルにおける力学特性の解明と変形理論構築
Project Area | Bulk Nanostructured Metals -New Metallurgy of Novel Structural Materials |
Project/Area Number |
22102006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 雅治 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50161120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 晋 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (40194576)
友田 陽 茨城大学, 理工学研究科, 特任教授 (90007782)
田中 將己 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452809)
紙川 尚也 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (30530894)
兼子 佳久 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40283098)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 構造材料 / 結晶粒界 / 結晶欠陥 / 力学物性 / 物性実験 |
Research Abstract |
各種純金属および合金のバルクナノメタルの力学特性と変形機構の解明を目的に研究を継続し,多くの成果を得た.実験としては,各種力学試験(引張圧縮試験,疲労試験,破壊試験,クリープ試験)を行い,電子顕微鏡観察,X線回折,中性子回折,熱分析,電気抵抗測定などの手法による材料組織の評価に加えて,各種その場測定も行った. バルクナノメタルにおけるホール・ペッチ関係と熱活性化過程に関して,粒界で生成した転位の粒内への張り出し過程と熱活性化depinning過程を考慮したモデルを用ることで,バルクナノメタル特有の特異現象を含めて,熱活性化変形過程をかなり定量的に説明することができた.また,銅合金において適切なサイズと分布の粒子を析出させることで,熱的安定性を向上させることが可能であることを見出した.さらに,結晶粒の初期方位がバルクナノメタル作製時の変形におよぼす影響を明らかにするために,単結晶を用い組織形成過程を詳細に調査し,3段階の組織変化が起こることを明らかにした.バルクナノメタルのリューダース変形の発現条件を調べ,部分焼入れ処理を行うことによってナノベイナイト変形が促進されることを明らかにした.ステンレス鋼のバルクナノメタルの低サイクル疲労試験においては,応力振幅の増加と初期の軟化率の低減に成功した.バルクナノメタルと加工材の脆性-延性遷移挙動の違いに関して検討を行った.Ti添加極低炭素IF鋼を用いて,特異な不連続降伏および異常ホール・ペッチ強化は,組織中に存在する転位源が不活性化されているために生じる現象であることを見出すと共に,超微細粒鋼の降伏挙動におよぼすナノ析出物の影響を明らかにした. 以上のように,幅広い領域で系統的に実験を行うことにより力学特性に関する新たなデータを取得した.また,実験結果を基に理論的な考察を行い,バルクナノメタルの変形挙動とその機構を総合的に議論した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルクナノメタルの塑性変形挙動解明のために,引張圧縮試験,疲労試験,破壊試験,クリープ試験を行い,電子顕微鏡観察,X線回折,中性子回折,熱分析,電気抵抗測定など各種の手法による材料組織の評価に加えて,その場変形試験などによる実験結果など,当初計画以上の成果も得られている.その一方で,変形機構の考察には,結晶粒径および結晶粒界の性格,転位密度,転位組織,集合組織などの種々の因子を考慮する必要があり,実験結果の多くは定性的には説明できるが,定量的に説明可能な段階に至るまでには,さらなる研究の進展が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向け,これまで得られた実験的,理論的知見を基に研究を発展させ,バルクナノメタルにおける力学特性の解明とできる限り定量的な変形理論構築を目指していきたい.
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Research Products
(28 results)