2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
22103005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40212039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 正仁 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70271070)
水島 健 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50379707)
佐藤 昌利 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30313117)
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Keywords | トポロジカル量子現象 / エッジ流 / マヨラナフェルミオン / 超流体 / アンドレーエフ束縛状態 / 冷却l気体 |
Research Abstract |
スピン軌道相互作用により従来型s 波超伝導体からカイラルエッジ状態が作れることがすでに佐藤の理論で知られていたが[M. Sato et al., Phys. Rev. Lett.103, 020401 (2009)]同様の機構から半導体2 次元電子ガスを強磁性体と従来型s 波超伝導接合系でサンドイッチした系でもカイラルエッジ状態が存在することが理論的に示せる。田仲らは、この系のエッジ状態および常伝導金属との接合のトンネル効果を研究し、エッジ状態形成における量子臨界を理論的に解明した。その結果、エッジ状態が強磁性体の交換磁場および2 次元電子ガスの化学ポテンシャルにより制御可能であることが明らかになった。近年、52Crなどの大きい角運動量を持った原子のボース・アインシュタイン凝縮(BEC)が実現している。これら内部自由度が大きい系では、相互作用パラメターに依存して様々な磁性を示す相が出現するため、エネルギーを最小化する方法で基底状態を求めるのは容易ではない。そこで上田らは、対称性をもとに、スピン自由度を持ったBEC の基底状態を求める方法を開拓した。この方法をスピン3 のBEC に適用し、先行研究では見落とされていた相を発見した。制限空間中の超流動3He-Aはスピン自由度を持ったカイラルp波超流動体である。水島らは、この系における半整数量子渦状態の熱力学的安定性についてギンツブルグ・ランダウ理論により調べた。特に、スピン揺らぎフィードバック効果による強結合効果とフェルミ液体補正の効果が半整数量子渦の安定性に与える影響を明らかにした。また、低エネルギー準粒子状態についてBogoliubov-de Gennes方程式の数値解析により調べ、そのマヨラナ性について議論した。また、非可換ゲージ場中でのボース凝縮体に自発的に現れる様々なスピンテクスチャー構造について統一的に理解した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成成果はおおむね良好である。トポロジカル超伝導体とは非自明なエッジ状態を持つ系である。このような系は、ミッドギャップ状態を含むアンドレーエフ束縛状態を持つ超伝導として認識され、フェルミ面上で符号変化をする異方的超伝導体の特徴と 考えられてきた。しかし、佐藤らの研究により、従来型超伝導体を用いても、常伝導状態が非自明な状態(電子の自由度がスピン軌道相互作用により分化した系)では、非自明なエッジ状態が期待できることが明らかになった。本年度はそのような系に注目して、新しいタイプのトポロジカル・非トポロジカル相転移を明確にして、またトンネル効果など輸送現象に与える影響を解明できた。冷却気体の系では対称性を用いることで新しい相の存在を予言することができた。冷却気体の理論に関しても新しい展開がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
班内の連携共同研究および、A,B,C班の実験グループとの連携を進めたいと考えている。特にC班の安藤グループの実験結果の解析を行いたい。すでに超伝導トポロジカル絶縁体のアンドレーエフ分散関係、表面の状態密度の解析は始まっているが、接合系の微分コンダクタンス、ジョセフソン効果の計算など輸送現象の研究を系統的に行いたい。奇周波数ペアがどのような系で顕著になるのか、トポロジカル超伝導との関係で調べていきたい。 トポロジカル量子現象に関して、D班内、領域全体で連携して理解を深めていく努力をしたい。
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