2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高速・超低消費電力物質科学シミュレーション方式の研究開発
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
22104002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲葉 真理 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (60282711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 礼仁 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40251392)
今井 浩 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80183010)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | アルゴリズム / シミュレーション工学 / 情報システム / ネットワーク / 計算機システム |
Research Abstract |
平成25年度には、平成24年度に研究開発したFPGAベースのネットワーク・アクセラレータを更に進化させARMコアを内蔵した大型FPGAを用い、大規模ネットワーク・NoCエミュレーションが可能となるシステムを開発し、動作を実現した。開発したネットワーク・アクセラレータはXilinx社製ARMコア内蔵FPGA1個を新たに試作した試作基板上にメモリ、24ポートのSATA接続による高次元ネットワークインタフェースを備えるもので、様々なネットワークトポロジに動的に対応できるものである。また、ネットワークシミュレータがエミュレートする超並列インターコネクトの基本構造についても研究開発を行った。ここでは、中間ノードにおけるパケット廃棄を許すネットワーク制御方式を扱った。本方式は、パケットの完全到着を動作原理とする既存の超並列インターコネクトより大規模システムで安定動作し、高い性能を得ることを目的としている。平成25年度は基本方式の策定と予備的シミュレーションを実施した。 更に、本プロジェクトがターゲットとする超並列・超分散プラットフォームを実現するために不可欠である、極超高速分散シミュレーション実現の基礎技術となる極超高速ネットワークを有効に活用するためのデータ転送方式の研究開発を実施した。平成25年度は40Gbpsの超高速ネットワーク性能を物質科学シミュレーションにおいて有効に活用するためのTCP通信最適化方式、ネットワーク制御方式、ネットワークを用いるアプリケーション高速化の研究開発を実施し、超高速TCP通信における最大の問題であった、パケットロス発生による急激な性能低下問題に取り組んだ。ここでは、機械学習を用いたTCPパケットロス原因推定方式を新たに提案し、シミュレータによる評価まで終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、平成24年度に研究開発したFPGAベースのネットワーク・アクセラレータを更に進化させるため、ARMコアを内蔵した大型FPGAを用い、大規模ネットワーク・NoCエミュレーションが可能となるシステムを開発し、動作を実現した。平成25年度はアクセラレータのハードウェア動作検証までが実現し、実際に開発したアクセラレータを用いて超低床電力シミュレーションの実現は平成26年度への課題である。また、ネットワークシミュレータがエミュレートする超並列インターコネクトの基本構造についても研究開発を行った。 これらの研究開発成果は、平成25年度当初に策定した研究計画に沿い、予定より大規模なものとなっている。 更に、本プロジェクトがターゲットとする超並列・超分散プラットフォームを実現するために不可欠である、極超高速分散シミュレーション実現の基礎技術となる極超高速ネットワークを有効に活用するためのデータ転送方式の研究開発を実施した。平成25年度は40Gbpsの超高速ネットワーク性能を物質科学シミュレーションにおいて有効に活用するためのTCP通信最適化方式、ネットワーク制御方式、ネットワークを用いるアプリケーション高速化の研究開発を実施し、超高速TCP通信における最大の問題であった、パケットロス発生による急激な性能低下問題に取り組んだ。ここでは、機械学習を用いたTCPパケットロス原因推定方式を新たに提案し、シミュレータによる評価まで終了した。 まとめると、平成25年度は、年度当初の計画を全て実現するとともに、研究計画には含まれていなかった超並列ネットワークの基本制御方式、超高速TCPの機械学習による最適化方式に取り組むことができた。これらの進捗状況から、平成25年度の研究開発進捗状況は(a) お当初の計画以上に進展しているであると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
FPGAを用いたアクセラレータを実際のシミュレーションを通じて評価し、高性能化、省エネルギー化を実現する基盤が平成25年度までの研究開発により整った。今後は、開発したARMコア内蔵FPGAを用いたネットワーク・アクセラレータ基板を用い、高次元のネットワークを構築することにより、シミュレーションにおけるトポロジ選択の重要性を実証する予定である。また、並列ネットワークにおける流量制御、輻輳制御については、平成25年度に考案したパケットを破棄する方式での安定化方法を実装し、提案方式がどのような性質を持っているかを実証する予定である。 第一原理シミュレーションによる物質科学計算のスーパーコンピュータによる実現では、スーパーコンピュータ間を結び、多量データを超高速に授受することは非常に重要な課題である。ここでは、40Gbpsおよび100Gbpsの超高速ネットワークを高効率で利用可能なデータ移動システムを目標として、平成25年度に研究開発した機械学習に基づくTCP最適化制御方式の実証実験を実施し、提案しているTCPパケット損失弁別を利用した最適化TCP方式の性能を実証する。 また、研究期間終了後では、得られた成果であるFPGAを用いたネットワークアクセラレータ、超並列インターコネクト制御方式、機械学習による超高速TCP最適化方式を研究コミュニティーから自由にアクセスし、利用できるように整備する予定である。
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