2012 Fiscal Year Annual Research Report
Density-Functional Approach to Atomic and Electronic Structures and their Dynamics in Nano-Structures
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
22104005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
押山 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80143361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (50354147)
土田 英二 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50357521)
尾崎 泰助 北陸先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70356723)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 密度汎関数理論 / 第一原理計算 / オーダーN / ナノ構造 / 電子状態 / コンピューティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子論の第一原理に立脚した実空間アプローチとオーダーN法(N: 系のサイズ)を計算手法の軸にすえ、ナノスケール構造体の形状と電子機能の複合相関と非平衡ダイナミクスの解明、および新機能を有するナノ構造体の提唱を行うことを目的としており、24年度は以下の成果が得られた。① 京コンピュータに代表される、超並列アーキテクチャのコンピュータ上で高速化を進めてきたRSDFT(実空間密度汎関数理論)コードを多機能化した。すなわち、ウルトラソフト擬ポテンシャルの導入により広範な物質群をターゲットとすること、新たな櫻井-杉浦固有値解法の実装によりフェルミ準位付近の固有値を選択的に求めること、またCar-Parrinello分子動力学法との統合により、大規模ダイナミクス計算を行うこと、が可能となった。② 密度行列の最適化に基づくオーダーN手法であるCONQUESTを、マルチコア超並列コンピュータ上で高速化し、また、基底関数系である局在軌道の最適化手法およびオーダーN分子動力学法の実装を行った。③ 多機能オーダーN法コードであるOpenMXの超並列化を行った。修正再帰二分法と慣性モーメントテンソルに基づく新しい領域分割法を開発し、京コンピュータ131,072コア計算において、極めて高い並列効率を達成した。④ 有限要素法コードFEMTECKの多機能化と次々世代アーキテクチャ、とくにインテル系アクセラレータでのフィーザビリティを調査した。 以上の手法開発成果を活用し、① Siナノワイヤーの大規模電子状態計算と、それに基づくコンパクト・モデルにより、トランジスターの電流電圧特性の、ナノ断面形状、結晶方位依存性を明らかにしたこと、② Si基板上Geのエピタキシャル成長中のナノ構造(ハット・クラスター)の構造最適化を行い、構造制御の可能性を探索したこと、などの物質科学分野での成果があげられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 実空間のCPMD法の開発は順調に進展しており、1,000原子系のCPMDが京1000コアで1タイムステップあたり、3秒で計算実行できるまでにチューンされた。 (2) CONQUESTの「京」上でのハイブリッド並列化は順調に進展し、10,000ノード超での高い実行性能を示している。 (3) 世界的に見ても多くのユーザーが利用しているOpen MXコードの、京コンピュータに代表される、マルチコア・超並列アーキテクチャ上での高効率化が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度までに、重要なコードについてのマルチコア・超並列コンピュータ上での高速化が進展した。今後は多機能化をはかるとともに、物質科学的に重要なターゲット、シリコン、ゲルマニウム系、シリコン・カーバイド系、酸化亜鉛系、炭素ナノ系、ソフト物質系等に対する先端的な電子状態計算を実行し、物質科学の発展に寄与する。また、A02研究項目の渡邉計画研究班との共同で、輸送係数計算コードの開発を計画している。
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Research Products
(33 results)