2012 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on Structure Sampling and Non-Equilibrium Dynamics Using Ab-Initio Molecular Dynamics Methods
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
22104006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
常行 真司 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90197749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 実 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長付 (50334040)
吉本 芳英 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80332584)
山内 淳 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (90383984)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 非平衡ダイナミクス / 原子間力モデル / 分子動力学法 / モデリング / 熱伝導 / 電極反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 前年度に引き続き一般化された非調和原子間相互作用有効モデルの第一原理に基づく導出と,非平衡分子動力学法およびボルツマン輸送方程式による熱伝導度計算を相補的に用いる,ナノ構造体の熱輸送計算プログラムの高度化を行い,実用的かつ汎用性の高いシミュレーション手法として確立した。これを用いてシリコンおよびI型クラスレート構造の熱伝導度における非調和効果を明らかにした。またSiナノワイヤーの熱伝導計算を行い,界面効果が大きいことを明らかにした。 (2) ハイブリッド汎関数計算についてGPGPUに対応した平面波基底プログラムxTAPPの高度化・機能強化,入力データ書式の近代化,出力データ解析および可視化手法の整備,ドキュメント整備など,一般公開に向けた準備を進めた。本プログラムはH25年度からGNU General Public License version 3 (GPL ver.3)のライセンス形態により,一般公開を行う予定である。 (3) 電極反応における反応経路、活性化エネルギー、基板の金属及び構造依存性を明らかにすることを目的として、有効遮蔽媒質(Effective screening medium: ESM)法の拡張を行った。とくに電極電位一定の分子動力学法(Constant-μ法)の開発を行い、より実験環境に近い条件で電極反応のシミュレーションを行えるようにした。 (4) シリコン結晶中不純物のXPSスペクトル計算手法を様々な不純物に適用し、再現性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主たる目標であった非調和原子間相互作用有効モデルの第一原理に基づく導出と熱伝導度計算への応用については,当初予定を上回る早さで世界的にも最先端レベルの新しい手法開発を終え,実用化にこぎつけた。また電極電位一定の分子動力学法の開発は,当初予定にはなかった大きな成果である。以上の点では当初予定を上回って進捗している。一方,これらの手法の応用研究については端緒についたばかりである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発された非調和原子間相互作用有効モデルの第一原理に基づく導出と熱伝導度計算手法を用いて,熱電材料候補物質と考えられているType Iクラスレート構造の低熱伝導度の理由を解明し,新しい材料開発に向けた指針を得ることを目指す。また原子数が多いナノ構造体の熱伝導シミュレーションに向けて,方法論の一層の整備を行う。 本研究課題で開発された手法は応用範囲が広く,波及効果が大きいため,一般公開に向けて準備を進める予定である。
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