2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン・ミューオンで探る新物性と量子ダイナミクス
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
22104008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 寛 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40237326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILDE Markus 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (10301136)
下司 雅章 大阪大学, ナノサイエンスデザイン教育研究センター, 准教授 (70397660)
後藤 英和 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80170463)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物性理論 / 物性実験 / 量子シミュレーション / 計算科学 / 水素 / ミューオン(ミュオン) / 表面反応 / 量子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は物質環境下でプロトン・正ミュオン等軽い原子核として振る舞う粒子を第一原理的に取り扱う量子シミュレーション手法を開発するとともに、これら粒子の関係する現象を観測する実験手法を開発し、理論および実験両面から、これら粒子のダイナミクスを探り、新規物性を探査している。昨年度までで開発したプロトン・ミュオンを取り扱う第一原理計算コード“Naniwa”を、これまでよく調べられているシリコン結晶中の正ミュオンに適応した結果、基底状態のBCサイトおよび励起状態のTサイトの量子状態を、再現することに成功しその超微細相互作用は、μSR実験結果とよく一致した。さらに、グラフェン上のプロトン、正ミュオンの量子吸着状態に適応した。前者の吸着エネルギーはTDS実験をよく再現した。後者は、まだ実験はなされていないが、特異な量子状態が見いだされ、今後の実験が待たれる。電子の多体状態を高精度かつ高速に計算するコード開発では、1電子波動関数に加える修正関数を改良し、これまで不可能であった炭素2量体やベンゼン分子の基底状態の全電子厳密計算が可能であることを示した。高圧水素系の物性探査では、金属水素化物の水素の含有量と位置を、ブリルアン散乱から求まる弾性定数と第一原理計算からの結果を比較して見積もる研究を実施した。CaF2構造を仮定してSc, Y, La, Ti, Zr, V, Nb, Taとの水素化物の弾性定数を調べ、電子状態から構造安定性も議論できた。表面・水素反応系における新規物性探査実験では、パラジウム(110)表面における水素の吸収および水素化物の核形成挙動と水素化物分解反応過程を研究し、気相水素分子状態とPd金属内部の水素状態間における水素の輸送機構を原子レベルで解明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度のシミュレーション実行・解析要員も確保でき、新たな物質系の探査を行うことができた。他領域の新学術領域研究グループと連携する研究を行うことができ、その成果を国際会議に共著で発表することができた。これは当初計画以上の進展である。オレフィン水添反応の触媒においてきわめて特異な水素の振る舞いが見いだされ、その水素ダイナミクス実験をより詳細に実施するためこの項目の研究を延長した。新たな現象が見いだされたことは、予想以上の進展であるが、この項目の研究期間の延長のために、次年度に一部予算を繰り越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)物質環境下におけるプロトン・ミュオンの第一原理計算手法の開発と応用:従来第一原理計算手法では、μSR実験結果と不一致が表れていた酸化物結晶中での正ミュオン状態へシミュレーションを適応し、不一致の原因を特定し、酸化物結晶でのシミュレーション計算手法を開発する。 (2)多体量子状態の高精度・高速計算手法の開発:1電子波動関数の修正アルゴリズムを改良し励起状態の計算を可能にするシミュレーションコードを開発し、現実の系への応用を試みる。 (3)高圧下の水素新物性の探査:今年度実施した研究を、水素含有量および結晶格子構造を変化させ探査範囲をより広範囲にして行う。 (4)表面・水素反応系における新規物性実験的探査:オレフィンへの水添反応へのPd内水素の状態を特定して、特異な振る舞いを解明する。水素供吸着時における、それぞれの水素状態を特定し、Pd(110)面における水素吸蔵・放出の原子ダイナミクスを解明する。理論においても、同表面構造における水素の量子シミュレーションを行い、理論・実験両面から検証する。
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Research Products
(39 results)