2012 Fiscal Year Annual Research Report
Many-Body Theory for Excited States in First-Principles Systems and Materials Design for High-Tc Superconductors
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
22104011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 康民 東京大学, 物性研究所, 教授 (00126103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前橋 英明 東京大学, 物性研究所, 助教 (30361661)
前園 涼 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40354146)
白井 光雲 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60178647)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物性理論 / 計算物理 / 超伝導材料・素子 / 強相関電子系 / 金属物性 / 第一原理計算 / 超伝導 / 転移温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
主にグリーン関数法に基づき、第一原理系の多電子問題を励起状態も含めて忠実に解くことを目指す。具体的には、電子の自己エネルギーについて、フェルミ流体とラッティンジャー流体の両者に適用可能なGW\Gamma法を発展させ、そのコードを開発する。また、密度汎関数超伝導理論(SCDFT)との対応を重視しつつ、超伝導転移温度Tcの定量計算スキームとそのコードを開発し、超伝導の微視的機構に迫る。 平成24年度には、局所電子数保存則だけでなく運動量保存則も常に満たす進化した\GammaをGW\Gamma法の計算コードに実装し、それを用いて低密度電子ガス系を詳しく調べた。その結果、低密度系で見られる誘電異常(静的長波長極限での負の分極関数の出現と相分離)や自己誘導励起子不安定性の増強とそれに対抗した有効質量の消失異常という新しい物理を発見した(高田)。また、同じGW\gamma法を1次元系ラッティンジャー流体に適用し、低励起状態を厳密に再現しつつ、高励起状態も含めてスピン電荷分離状態から電子の準粒子状態へのクロスオーバー全般を解明した(前橋・高田)。1原子埋め込み電子ガス系については不純物アンダーソン模型との比較から、電子密度の減少に伴って原子近傍の電子状態は金属遮蔽状態から近藤共鳴状態を経て局在原子(あるいは閉殻イオン)状態へシャープに転移することを発見した(吉澤・前園・高田)。超伝導についてはα相のホウ素系でより高いTcを目指した高ドープ化の方法として高圧ドーピング法を提唱した(白井)ほか、炭素系(是常・斎藤・櫻井)をエリアシュバーグ理論で調べている。特に、エリアシュバーグ関数を高精度に第一原理的に計算するコードを開発し(櫻井)、その情報をSCDFTに組み込んで第一原理的にTcを計算するスキームを考案している(高田)。また、ヤーンテラー系での超伝導機構を考えた(高田・前橋)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度はGW\Gamma法の課題に関して、この新学術領域が始まった当初の計画に比べて約一年の遅れとした。しかしながら、現在の計算機資源の下で、GW\Gamma法よりもずっと難易度の低いGW近似における不均一金属への適用状況を一般的に勘案すれば、現段階でGW\Gamma法を不均一系に展開するプロジェクトはやや時期尚早なものであると思われる。また、たとえ均一系であっても、低密度系や低次元系にGW\Gamma法を適用すると、いろいろと新たな物理が開拓できることが分かってきたという状況下では、この課題における当初目標そのものを見直し、低密度均一系・低次元均一系における展開を第一の目的とし、余力があれば不均一系への展開を次の目標に設定するということが適当であると考えられる。このように見直された課題設定の下では、GW\Gamma法の課題についても、1原子埋め込み系や超伝導の課題と同様に、順調に研究が進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べたような意味で、全ての研究が順調なので、基本方針通りに進める。次年度では、特に1原子埋め込み系の研究に力を注ぎ、得られている正確な電子密度分布n(r)を再現する交換相関ポテンシャル汎関数を構成して、LDAを越える計算を可能にして、超高圧下の金属水素における詳しい相図の作成を目論んでいる。
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Remarks |
http://takada.issp.u-tokyo.ac.jp/
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Research Products
(21 results)