2012 Fiscal Year Annual Research Report
Computational Design and Realization of Spin-electronics Materials
Project Area | Materials Design through Computics: Complex Correlation and Non-equilibrium Dynamics |
Project/Area Number |
22104012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 和則 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任准教授(常勤) (60379097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 竜樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30272941)
小倉 昌子 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30397640)
野崎 隆行 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノスピントロニクス研究センター, 研究員 (60452405)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 第一原理計算 / オーダーN法 / 磁気異方性 / 電子輸送現象 / 永久磁石 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体スピントロニクスのためのマテリアルデザインに関して以下の3つの方向性を提案した。(1)ドナー不純物を磁性不純物と同時にドーピングすることで磁性不純物の高濃度添加を実現する(同時ドーピング法)、(2)相分離を利用して磁性不純物を高濃度に含むナノ構造を自己組織化させる、(3)磁性不純物の固溶度の高い半導体を新しく提案する。H24年度は、(2), (3)に関連するマテリアルデザインとして、IV-VI族化合物半導体およびMgOベース磁性半導体のデザインを行った。特に、IV-VI族化合物半導体GeTeはMnの固溶度が高く、Ge空孔の導入によりp型にできるためHigh-Tc実現の可能性があることがわかった。また、半導体スピントロニクスデバイスデザインを目指して、KKR法非平衡グリーン関数法による半無限Co/Cu9/Co15/半無限Cu構造の伝導度とスピン移行トルクの計算、遮蔽グリーン関数法による大規模スーパーセル系の電子状態計算をおこなった。
金属系スピントロニクスのデザインについては、外部電界下での磁性薄膜の磁気状態を、密度汎関数理論に基づいた相対論的2成分擬ポテンシャル第一原理電子状態計算法を用いて研究している。計算コードのハイブリッド並列化をすすめ、膜に印加する電界毎に、(001)と(100)の2方向の磁化に対する全エネルギー計算の差を求めることで、接合膜(誘電体層/金属磁性層)の磁気異方性エネルギー(MAE)を見積もった。本年度は、MgO/金属磁性層の薄膜、Fe3Co薄膜の研究を行った。対応する実証実験として、原子交互積層法によるFe/Pt垂直磁化膜の作製、希土類金属(Gd)を磁性電極に用いた磁気トンネル接合素子の作製、を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
半導体スピントロニクスのためのマテリアルデザインとして本年度までに、(Ga, Mn)AsにおけるCu同時添加の効果、LiZnAsベース磁性半導体やMgOベースd0磁性体のデザインなどを行ってきたが、これらの研究で得られた知識を集大成しキュリー温度上昇のための物質デザインの一般的な指針を与えることができた。この指針の提案はIV-VI化合物ベース磁性半導体の設計につながった。また、オーダーN法による電子状態計算コードの開発も順調にすすんでいる。多層膜構造についてはセルフコンシステント電子状態計算と久保公式による電気伝導率計算が可能となっており、デバイスの基本構造であるPN接合の計算を現実的な長さスケールで行うことが可能である。本方法は計算アルゴリズムの工夫により3次元系でも有効となっている。
金属系スピントロニクスのためのマテリアルデザインとそのためのコード開発も順調に進展しており、外部電界下での磁性薄膜の磁気状態を密度汎関数理論に基づいた相対論的2成分擬ポテンシャル第一原理電子状態計算法を用いて予測することが可能となっている。開発したソフトウェアは、M/Fe/M (M=Pt, Pd)のような金属磁性薄膜やMgO/Fe/M (M=Au, Pt)のような接合薄膜に適用し磁気異方性への電界効果を大きくするための指針を与えた。接合薄膜系のデザインでは実証実験との比較も進展し、Ag/Fe/MgO, Au/Fe/MgO, Pd/Fe/MgO, Pt/Fe/MgOでの電圧誘起磁気異方性変化の実証実験が計算機デザインと連携しつつ進展している。
以上のことから当初研究目標は十分達成され計画以上に進んでいると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
半導体スピントロニクスのデザインでは、本年度までの成果をもとに3つの設計指針を提案し、それに基づきIV-VI族磁性半導体のデザインを開始した。本物質は半導体の系としては遷移金属の固溶度が高い特異な系である。この特性を利用したHigh-Tc磁性半導体のデザインを推し進めていく一方、高固溶度の起源を電子状態に立ち返って検討し新規母体材料の提案につなげる。オーダーN計算については、コードの整備がすすみデバイスデザインのプロトタイプができたと考えている。今後は、より現実的な半導体スピントロニクスデバイスデザインに向けた計算コードの整備を行っていく。
金属系スピントロニクスのデザインでは、主に界面(誘電体層/金属磁性層)を有する膜を計算対象としてきた。将来的に誘電体層として有機結晶や有機溶媒といった物質を用いること視野にいれ、こういった物質層の構造を決める重要な相互作用であるファンデルワールス力を採り入れた物質デザインも検討する。この点についてはすでに方法論を研究開発してきている公募班との共同研究を考えている。また、金属磁性層としてはこれまでFeを考えてきたが、FeCoやFeCoB合金も検討し実証実験との緊密な連携をはかる。一方、実験をより計算機デザインに近い状況で実施し精度の高い実証をおこなうため、原子交互積層法による磁化膜の作製を行っていく。さらにデザインに先行してGdを磁性電極とする系についての実験も行っていく。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Interface atomic structures and magnetic anisotropy of Fe and Pd/Fe monatomic films on Pd(001)2012
Author(s)
T. Ueno, M. Sawada, K. Furumoto, T. Tagashira, S. Tohoda, A. Kimura, S. Haraguchi, M. Tsujikawa, T. Oda, H. Namatame, and M. Taniguchi
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Journal Title
Phys. Rev. B
Volume: 85
Pages: 224406(1-11)
Peer Reviewed
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