2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茶谷 直人 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30171953)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子活性化 / 炭素-水素結合活性化 / キレーション / 配向基 / 炭素-リン結合活性化 / 炭素-炭素結合活性化 / 炭素ー酸素結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)二座配向基を利用した炭素-水素結合活性化: Ni(II)触媒/8-アミノキノリン配向基系が、芳香族アミド類のオルト位炭素-水素結合のアルキル化に有効であることを見出した。塩基の選択は重要で、炭酸ナトリウムがもっとも有効であった。ホスフィンの添加は必須で、添加しないと全く反応は進行しない。官能基選択性は高い。反応性の低いアルキル臭素化物の場合、系にヨウ化ナトリウムを添加すると、良好に反応することがわかった。重水素標識実験から、炭素-水素結合の切断は、可逆であることがわかった。また、アルキル化にはホスフィンの添加は必須であるが、炭素-水素結合活性化には影響を与えないことがわかった。さらに重要なことに、この系は、飽和炭素-水素結合のアリール化にも適用できることを見いだした。8-アミノキノリン配向基の存在は必須である。様々なニッケル錯体、Ni(OTf)2、Ni(OAc)2、NiBr2、NiCl2、Ni(cod)2が高い触媒活性を示した。本反応でも、塩基の選択は重要で、炭酸ナトリウムがもっとも有効であった。また、カルボン酸の添加はなくても反応は進行するが、立体的にかさ高い芳香族カルボン酸を添加すると収率はつねに20%程度高くなることがわかった。反応は、メチル基でのみ選択的に起こり、メチレン炭素―水素結合では全く反応が起こらなかった。重水素標識実験から、炭素-水素結合の切断は、飽和炭素-水素結合にもかかわらず、可逆的に進行していることがわかった。 (2)ホスホール合成: 単純な3級ホスフィンをパラジウム触媒存在下で反応させると、炭素-水素および炭素-リン結合の両方の切断をともなった環化反応が進行し、ジベンゾホスホール誘導体が得られることを見出した。ハロゲン基、アシル基やヘテロ環など多様な構造を持つホスホールが本手法により簡便に合成できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二座配向基を利用する炭素-水素結合の直截変換反応の開発研究では、飽和の炭素-水素結合活性化を含むアリール化の開発に成功した。飽和炭素-水素結合の活性化は、その結合が強固なため困難であると思われた。したがって、もう少し時間がかかると思っていたが、予定より早く達成することができた。さらに、ホスホール合成の成功を受けて、炭素-水素結合/炭素-硫黄結合の両方が活性化されるチオフェン合成にも予備的であるが、成功している。このように計画以上の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画以上に進展しているので、基本的には大きな変更点はない。このまま研究を進めていく。ただ、炭素-水素結合活性化に関しては、飽和炭素-水素結合活性化の開発が順調に進んでいるので、予定を早めて検討する予定である。また、われわれの研究の追随研究も出始めているので、さらにスピードを上げて、研究を推進したい。
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