2012 Fiscal Year Annual Research Report
Functionalization of Unactivated Bonds by Cooperative Metal Catalysis
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 佳亮 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60346088)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 協働金属触媒 / 遷移金属 / ルイス酸 / 炭素ー水素結合活性化 / 炭素ー炭素結合活性化 / 炭素ー酸素結合活性化 / 炭素ー窒素結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能社会の実現には,既存の有機合成がもたらす環境負荷を大幅に低減する必要があるが,既知反応の改良には限界があり,全く新しい概念に基づく新しい有機合成反応の創出が急務である。そのような背景から申請者は,ニッケル触媒とルイス酸触媒を複合的に利用して,その協働作用によって初めて達成できる不活性結合の新規変換反応をこれまでに多数開発してきた。本研究では,これを発展させ,低原子価遷移金属と高原子価金属(ルイス酸性金属)を複合的に利用し,その協働触媒作用によってC(sp3)-H, C-C, C-N, C-O結合を活性化することによって,有機分子を事前に官能基化することなく環化付加反応や付加反応,閉環反応,カップリング反応を行なう新しいC-C結合形成手法の開発を行なっている。平成24年度は,パラジウムとホウ素の協働触媒によってO-CNおよびN-CN結合を活性化し,アルケンを分子内挿入させて,β-アルコキシニトリルおよびβ-アミノニトリルを原子効率よく得る新しいシアノ官能基化反応の開発に成功した。ニトリルは,多くの生理活性物質に含まれているうえに,カルボニルやアミノメチル基などに容易に変換できるため,合成中間体としても汎用されている。したがって,効率のよいシアノ基導入手法の開発は,有機合成における重要課題の一つであり,現在でも極めて活発に研究されている。アルケンやアルキンなどの不飽和結合に,シアノ基と官能基を付加させる本シアノ官能基化反応は,入手容易な出発物質から高度な構造を有するニトリルを一挙に得ることができるため,極めて有用なニトリル合成手法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請に記載した「遷移金属/ルイス酸協働触媒のシアノ官能基化反応への応用」の開発について,O-CN結合間にアルケンを分子内挿入させるオキシシアノ化反応について成果を取りまとめ,論文発表することができた。また,N-CN結合活性化を経るアミノシアノ化についても,触媒系の最適化が完了し,基質適用範囲に関する検討も順調に進んでいるので,予定通りの成果を得たと考えている。一方,「C(sp2)-H結合へのanti-Markovnikov型アルケン挿入反応」について,アニリド誘導体のメタ選択的アルキル化反応の触媒系最適化は,配位子の検討に予想以上に時間がかかっており,目標としていた基質適用範囲の検討に取り組むまでには至っていない。したがって,総合的には「おおむね順調に進展している」と判断するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
アミノシアノ化反応については,基質適用範囲の検討を完結させ,成果を取りまとめて論文発表を行う。「C(sp2)-H結合へのanti-Markovnikov型アルケン挿入反応」について,触媒系最適化を進め,基質適用範囲の検討を進める予定である。また,一昨年度より検討している「メタラサイクル形成を経るC-H結合の直接変換反応」について,適用可能な基質構造の探索を進める。
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