2011 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性反応活性種の創出に基づく炭化水素類の効率的分子変換
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | ピンサー錯体 / 脱水素ボリル化反応 / 求電子的活性化 / ジボリル化 / パラジウム錯体 |
Research Abstract |
本年度の研究ではまず、末端アルケンと等モル量のB_2pin_2に対しトルエン溶媒中室温で、パラジウムトリフラート錯体とAlEt_3をそれぞれ2mol%作用させると、アルケンの脱水素ボリル化反応が触媒的に進行し、アルケニルボロン酸エステルが高収率で得られることを見いだした。 本反応は単純末端アルケン、並びに種々の官能基化された末端アルケンを用いても、対応するアルケニルボロン酸エステルを良好な収率で、かつ多くの場合trans体を選択性良く与える。さらに、アルケンに対し二倍モル量のジボロンを用いて反応を行うと、脱水素ボリル化が連続して進行し、合成中間体として有用性の高いジボリルアルケンが得られることを見いだした。この反応の鍵として、本ボリルパラジウム錯体が高い反応性を持ち、かつヒドロホウ素化等の副反応を伴わないため過剰のアルケンを用いる必要がないことが挙げられる。本反応では電子的に活性化されたスチレン、及びN-ビニルフタルイミドを基質とすると、対応する1,1-ジボリル化体が高収率かつ高選択的に得られるのに対し、脂肪族一置換アルケンを基質とした場合、位置選択性が逆転し、これまで一般的な合成法の報告されていないtraps体の1,2-ジボリル化体が位置選択的に、かつ高いtrans選択性で得られることがわかった。 また求電子的な遷移金属錯体を触媒として用いる反応開発に関しては、これまでに開発に成功した反応を基盤として有用天然有機化合物の全合成研究を行うと共に、活性化されたアルキンに対するイミン窒素の求核付加を契機とする含窒素複素環化合物の合成や、アレンの求電子的な活性化を契機とする高度に酸素官能基化された6,7員環化合物の合成に新たな可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究は概ね順調に進行し、PSiPピンサー型錯体を用いて斬新な反応の開発に成功した。またアルキンやアレン類の求電子的な活性化に基づく炭素骨格構築法の開発については、いくつかの新たな知見を得るとともに、これまで開発した反応を利用して天然有機化合物の合成に一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には順調に研究は進展していると考えている。今年度見出した反応を確立・発展させるとともに、今後も新たな反応活性種の創出に基づく新反応の開発に重点を置き研究を推進する。大きな問題点はない。
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Research Products
(35 results)