2013 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性反応活性種の創出に基づく炭化水素類の効率的分子変換
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40168563)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / ピンサー錯体 / ジアルミニウム化 / 求電子的活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究ではまず、PSiPピンサー型5配位ボリルパラジウム錯体の熱的な異性化に関する検討を行い、この異性化が5配位の状態で熱的に進行すること、またその際これまで10族金属錯体ではほとんど例のない、turnstile型の機構で異性化を起こしていることを明らかにすることができた。また、このPSiPピンサー型パラジウム錯体の新たな利用法として、アルキンのジアルミニウム化反応を見出すことができた。すなわち、触媒量のPSiPピンサー型パラジウム錯体存在下、アルキンに対し2倍モル量の水素化ジイソブチルアルミニウムを作用させると速やかに反応が進行し、アルキンのそれぞれの炭素上にアルミニウムが導入されたジアルミノアルケンが生成することを見出した。本反応はアリール基の置換した末端アルキン化合物に対し良好な収率で進行する。この反応の反応機構について様々な検討を行った結果、反応生成物のX線構造解析に成功し、6員環構造を持つ二量化体、1,4-ジアルミナシクロヘキサジエンとして存在していることを明らかにすることができた。 次いで、PSiPピンサー型配位子を持つ7族金属錯体の合成について検討を行い、マンガンならびにレニウムカルボニル錯体を合成することに成功した。これらの錯体はmeridional型とfacial型の異性体が存在するものがあり、その光照射および熱的な条件下での異性化挙動についても興味深い知見を得ることができた。 また求電子的な遷移金属錯体を触媒として用いる反応開発に関しては、これまでに開発に成功した反応を基盤として有用天然有機化合物の全合成研究を行い、三環性インドールアルカロイドであるYuremamineの提案されている構造を持つ化合物の合成を達成した。しかしその化合物データは文献記載のものと一致せず、現在、立体化学の異なる他の異性体の合成を行い、その構造の確認を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体の計画は概ね順調に進展している。いくつかの課題で新たな展開が見られ、より詳細な検討が必要となったものもある。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい反応開発を目指し反応活性種の創製を鍵として多面的な研究を継続する。
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