2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素―水素結合の直截的酸素化反応をめざした金属オキソ活性種の創出
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊東 忍 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30184659)
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Keywords | 酸素化反応 / 金属オキソ種 / C-H結合活性化 / 金属酵素 / 活性酸素錯体 |
Research Abstract |
脂肪族および芳香族化合物への触媒的酸素官能基導入反応は有機合成化学や触媒化学の分野において最も重要な研究課題の一つとして、古くから活発に研究が行われてきた。しかし、常温・常圧下での効率的かつ位置/立体選択的な酸素官能基導入反応を達成した例はほとんどない。本研究では、金属酵素のストラテジー(戦略)を触媒開発に応用し、効率的かつ位置および立体選択的な脂肪族および芳香族化合物の水酸化反応の開発をめざして研究を行った。具体的には、(1)精密に設計・合成した配位子を用いて調製した遷移金属錯体による分子状酸素の活性化とそれを用いた脂肪族および芳香族化合物の触媒的酸素化反応の開発、(2)プロトン共役電子移動反応を鍵とする水の活性化と、それを用いた有機・無機基質への触媒的酸素移動反応の開発、および(3)遺伝子工学的手法を駆使した金属酵素の機能改変と酸化触媒への応用、について検討した。 (1) 遷移金属錯体を触媒とする酸素化反応系の開発:銅、ニッケル、ルテニウム、オスミウム錯体などを触媒とする脂肪族および芳香族化合物の酸素化反応系について検討を行った。基質適応範囲の検索、中心金属や配位子の効果などについて系統的に検討し、分子状酸素や過酸化水素を酸化剤とする直截的酸素導入法を開発した。 (2) モリブデンおよびタングステンの高原子価オキソ/スルフィド錯体の創出と反応性:モリブデンやタングステン酵素に含まれる活性種をモデル化した高原子価オキソ/スルフィド錯体の合成法を確立するとともに、外部基質との反応性について検討した。 (3) 遷移金属オキソ種を含む人工金属酵素の創出:二核銅活性中心を有するチロシナーゼの新しい酵素活性の創出をめざして、遺伝子工学的に部位特異的変異導入を行った。さらに金属ラクタマーゼや炭酸脱水素酵素の活性中心をプラットホームとする様々な人工金属酵素の創出について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、金属酵素のストラテジー(戦略)を触媒開発に応用し、効率的かつ位置および立体選択的な脂肪族および芳香族化合物の水酸化反応の開発をめざして検討を行った。その結果、(1)精密に設計・合成した配位子を用いて調製した遷移金属錯体による分子状酸素の活性化とそれを用いた脂肪族および芳香族化合物の触媒的酸素化反応の開発、(2)プロトン共役電子移動反応を鍵とする水の活性化と、それを用いた有機・無機基質への触媒的酸素移動反応の開発、および(3)遺伝子工学的手法を駆使した金属酵素の機能改変と酸化触媒への応用について、予定していた研究計画通りに研究を推進出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、(1)精密に設計・合成した配位子を用いて調製した遷移金属錯体による分子状酸素の活性化とそれを用いた脂肪族および芳香族化合物の触媒的酸素化反応の開発、(2)プロトン共役電子移動反応を鍵とする水の活性化と、それを用いた有機・無機基質への触媒的酸素移動反応の開発、および(3)遺伝子工学的手法を駆使した金属酵素の機能改変と酸化触媒への応用について、研究計画調書に記載の研究計画に従って研究を推進して行く予定である。
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Research Products
(11 results)