2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属クラスター錯体の示す特異性の解明と触媒機能開発
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真島 和志 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70159143)
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Keywords | イリジウム / 2核錯体 / 不斉水素化反応 / 光学活性アミン / ヒドリド錯体 / 触媒反応機構 / 複素環化合物 / キノキサリン |
Research Abstract |
光学活性2座ホスフィン配位子を持ちハロゲン架橋を有する2核イリジウム錯体は、入手が容易なイリジウム錯体合成前駆体に過剰量のHX水溶液を加えることにより高収率で合成できるばかりでなく、イリジウムの酸化状態が3価であるため空気や湿気に対して安定で、実験操作として取り扱いやすく、水素化反応条件において容易に優れた不斉水素化触媒となる。これらのイリジウム錯体は、2-位に置換基を有するキノリン類の不斉水素化反応において高い触媒活性を示し、基質とハロゲン化水素酸との塩を形成させることによってより高いエナンチオ選択性を示すことや基質によって最適なハロゲンが異なるという興味深い結果を得た。さらに、2-位に種々の置換基を有するキノキサリン類を基質とした触媒的不斉水素化反応の開発を行い、軸性不斉2座ホスフィン配位子であるDIFLUORPHOSと塩素が結合した2核イリジウム錯体を水素化触媒として用いた場合に最も高い反応性とエナンチオ選択性を示すことを見いだした。さらに、基質である複素環化合物の直接水素化反応の反応機構の解明を目指して反応中間体の合成単離を行いいくつかの中間体の構造をX線構造解析により解明した。また、溶液中に存在する平衡にある中間体をスペクトル測定により同定した。その結果、本触媒系ではアミンを添加することにより水素化触媒活性とエナンチオ選択性が大幅に向上することや反応中間体のイリジウム-ヒドリド種の動的挙動を解明できた。
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