2012 Fiscal Year Annual Research Report
Application of Unique Transition Metal Cluster Complexes for Catalytic Reactions
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真島 和志 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70159143)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 合成化学 / 不斉合成 / 不斉水素化反応 / イソキノリン / テトラヒドロイソキノリン |
Outline of Annual Research Achievements |
キノキサリンの不斉水素化においてアニリン誘導体を添加すると、生成物の収率・鏡像体過剰率が向上することをすでに見いだしているが、本系において脂肪族アミンを添加すると反応がまったく進行しないという結果を得た。この結果から、イソキノリン類やピリジン類の不斉水素化が困難な原因の一つとして考えられていた生成する環状アミンの触媒毒としての作用を明らかとすることができた。この結果から、環状アミンのイリジウムへの配位を阻害することにより、触媒の失活を抑え効率的に反応が進行させることができると考え、環状アミンの配位を阻害する手法として、基質である複素芳香環化合物とブレンステッド酸との塩を形成することにより解決することができた。すなわち、イソキノリン塩酸塩を基質として用いた場合、水素化生成物は系中に存在するブレンステッド酸と塩を形成し、イリジウムに配位することができなくなる。また、基質の塩を形成することで基質の芳香族性を崩し、反応性の向上が見込める。そこで3-フェニルイソキノリン塩酸塩を用いて検討を行ったところ、予想通り、高い転化率、エナンチオ選択性で反応が進行した。一方、塩を形成していない3-フェニルイソキノリンでは中程度の転化率、エナンチオ選択性に留まった。 最適化した条件で基質一般性の検討を行ったところ、種々の3位置換イソキノリン類は高エナンチオ選択的に反応が進行することが分かった。また、1位置換イソキノリン類は、80 #186;Cという高温を要するものの効率良く反応が進行し、対応する生成物が高い鏡像体過剰率で得られた。さらに、1,3位に置換基を有する基質も適用可能であり、高ジアステレオ選択的かつ高エナンチオ選択的に反応が進行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である含窒素複素環状化合物の不斉水素化反応に優れたイリジウム触媒系を構築できたことから、今後、多様な基質に展開できる準備が整った段階である。このような状況であることからおおむね順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果に記載したように光学活性複核遷移金属錯体による高効率不斉水素化触媒の開発は順調であり、よりチャレンジングな置換ピリジンの不斉水素化反応に挑戦する計画である。 さらに、平成25年度は、剛直な支持配位子を持つ複核遷移金属錯体による炭素ー炭素結合形成反応の開発にも取り組む計画である。
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Research Products
(11 results)