2013 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属クラスター錯体の示す特異性の解明と触媒機能開発
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真島 和志 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70159143)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | スカンジウム錯体 / ボロン酸エステル / 加アルコール分解 / 複核錯体 / メタラサイクル / チタン複核錯体 / アルミニウム複核錯体 / タンタル複核錯体 |
Research Abstract |
本研究では、第1遷移金属や前周期遷移金属などの非貴金属からなる複核金属錯体を精密合成し、貴金属触媒や単核金属触媒では実現できない触媒機能の開発を目的としている。 アミドは高い化学的安定性を有することからその変換は非常に困難であり、加水分解や加アルコール分解では厳しい反応条件が必須であった。スカンジウムトリフラートとボロン酸エステルを組み合わせた触媒系により、種々の1級アミドに適用可能であり対応するエステルが高収率で得られた。さらに、本触媒系はアセチルアニリン誘導体の脱アセチル化にも適用することができる。 次に、アルコキシドもしくはアミド配位子によって架橋されたアルミニウム二核錯体とカルバゾールを反応させたところ、アルコキシ架橋二核錯体はC―H結合切断に活性を示さなかったのに対し、アミド架橋二核錯体はC(sp2)―H結合が活性化され非対称な二核錯体が生成することを見いだした。得られた錯体のX線結晶構造解析から、これらの反応性の違いは、中心のAl2X2骨格が柔軟であり、基質のC―H結合とAl―C(メチル)結合との接近に十分な立体環境を形成できるかどうかに起因することを明らかにした。 さらに、イミド配位子によって架橋されたチタン複核錯体と内部アルキンを反応させたところ、イミド配位子のオルト位の炭素―水素結合活性化が進行し、さらに内部アルキンが挿入することで分子内に2つのメタラサイクルを有する錯体が得られた。 また、内部アルキンを配位子として有するタンタルの単核金属種の複核化反応の検討を行った。アルキン存在下で複核タンタル錯体の還元反応を行ったところ、6員環形成反応と二つの金属間へのアルキンの配位が進行した新たな複核タンタルメタラサイクル錯体が得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンタル、チタン、アルミニウムなどの複核錯体の合成に成功し、これらの錯体の示す新規な反応性と触媒機能が順調に明らかに出来ており、単核錯体と異なる金属間の協奏的な相互作用を明らかに出来ており、研究は順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も引き続き種々の元素から成る複核および多核金属錯体の合成に取り組むとともに、それらの錯体の示す特異な触媒機能の開発をおこなう計画である。特に、3価と4価が安定で有り、一電子酸化還元特性に優れたセリウムの複核および6核錯体の合成と触媒機能の解明を進める計画である。
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Research Products
(14 results)