2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecule Activation Directed toward Straightforward Synthesis |
Project/Area Number |
22105013
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20222226)
|
Keywords | タンパク質 / 酵素 / ヒドロゲナーゼ / 水素発生 |
Research Abstract |
生体内での生合成や代謝反応は、いわゆる直截的な有機合成反応の基本例である。その効率的な反応には、生体触媒である酵素の関与が必須である。したがって、我々が直截的反応を実際にデザインする際には、酵素を目的に応じて改変して利用することが、新しい有効なアプローチの一つと言える。本研究課題では、金属タンパク質に着目し、天然の金属酵素の活性を凌駕する人工生体触媒の構築や、天然では見られない有機反応を触媒する新しい金属酵素の開発をめざしている。当該年度は、特にチトクロムcのヘムポケットに着目し、常法にしたがって天然のヘムを除去した後に、得られたアポ体に鉄2核カルボニル錯体を挿入し、ヘムポケット内に存在する2つのシステインのチオール基を配位子とするヒドロゲナーゼ活性中心モデルを構築した。同定はMS,UV-vis,IRにて実施した。この人工金属タンパク質にさらに光触媒として働くルテニウム錯体と犠牲試薬であるアスコルビン酸を加え、光照射下によるルテニウムから鉄2核カルボニル錯体への電子移動を起こすことにより、水中での効果的な触媒的水素発生を観測した。さらに、本反応はシステインを含むオリゴペプチド上に構築した同様な鉄2核カルボニル錯体では、非常に水素発生の効率が悪いことも明らかとなり、本反応においてチトクロムcのタンパク質マトリクスが触媒的水素発生を支援していることが判明した。また、至適pHは、4.7であり、得られたタンパク質触媒(人工酵素)は、酸性側でより優れた活性を示すことも明らかとなった。また、本テーマと並行して、別のグロビン構造を示すヘムタンパク質(ミオグロビン)からヘムを除いたアポ体に、ヘム側鎖を修飾した人工コファクターを挿入し、得られた再構成ミオグロビンにおいて、天然のペルオキシダーゼ活性と同等の酸化触媒能力を有することを見いだしている。
|
Research Products
(4 results)