2011 Fiscal Year Annual Research Report
縁辺海の海洋構造に励起される大気海洋相互作用と海洋生態系への影響の研究
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
22106002
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
磯辺 篤彦 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (00281189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郭 新宇 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (10322273)
中村 啓彦 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (50284914)
広瀬 直毅 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (70335983)
石坂 丞二 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (40304969)
木田 新一郎 海洋研究開発機構, 地球シミュレーターセンター, 研究員 (50543229)
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Keywords | 東アジア縁辺海 / 冬季温帯低気圧 / 南岸低気圧 / 黒潮流路 / DREAMS / 瀬戸内海 / 海洋生態系 |
Research Abstract |
本課題では、まず、東アジアの縁辺海で成立する大気海洋相互作用の事例を抽出することで、縁辺海規模の海況に応答した気象擾乱の"ライフヒストリー"を明らかにする。例えば、衛星観測風(QuikSCAT)データから求めた海上風の相対渦度の標準偏差分布から、縁辺海における低気圧の発達状況とSSTの連関について解析し、大気領域モデル(MM5V3)を用いた数値実験を行うことで、黄海・東シナ海や日本海のSST分布が、冬季東アジアにおける温帯低気圧の発達に異なる効果を持つことを明らかにした。また、日本周辺における天気図に記載されたSLPの時空間変化を数値化し、日本南岸における黒潮流路が、台湾低気圧や南岸低気圧の移動経路に与える影響研究を進展させた。その結果、黒潮が蛇行流路と非蛇行流路を取る場合に、特に南岸低気圧の移動経路と発達率の両方に見られる有意な変化を発見した。さらに、東アジア縁辺海における生態系に、上述の大気海洋相互作用が波及していく事例研究に着手した。あるいは、今後の他班との連携を見据えて、縁辺海と太平洋の海水交換過程を記述する基礎的理論(Island Integral Constraint)を発展させた。また、対馬海峡横断フェリーによる海況監視システムを利用した、日本周辺における同化モデル(DREAMS)の整備をすすめた。本年度は、海面水温の日変化に対応した同化手法を取り入れ、配布データの時間的な高密化を図った。瀬戸内海スケールにおける大気海洋結合過程の抽出に資するべく、潮汐フロント周辺でのゾンデ観測の準備を進めている。本課題の成果は学会での口頭発表や国際学術誌への論文投稿以外にも、沿岸海洋シンポジウム「東アジア縁辺海における大気海洋相互作用と海洋生態系への影響」(2011年9月26日/九大春日キャンパス)において、とりまとめて公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の東アジア縁辺海における温帯低気圧の発達過程に対する役割(黄海東シナ海や、日本南岸の黒潮流路の役割)や発達過程のシナリオについて、成果を取りまとめ、国内外の関連学会にて公表を進めた。また、DREAMSのデータ整備を進め、関連研究者へのデータ公開も実施している。ただ、上記の成果については、学術誌での論文発表が、現在、改訂稿の作成中か新規投稿中である現況を鑑み、(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は、上記成果の国際学術誌での論文発表を済ませ、平行して現在進行中の、縁辺海の大気海洋相互作用を定量評価するための、大気海洋結合"領域"モデルによる研究成果や、さらには縁辺海における相互作用に対する海洋低次生態系の関わりについての研究成果を、国内外の学会にて発表し、順次、論文での公表を進めていく。
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Research Products
(23 results)