2011 Fiscal Year Annual Research Report
雲・放射エネルギーを介したモンスーンアジアの大気海洋相互作用
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
22106004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早坂 忠裕 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40202262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 俊樹 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80302074)
村山 利幸 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (50200308)
河本 和明 長崎大学, 環境科学部, 准教授 (10353450)
坪木 和久 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (90222140)
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Keywords | 雲 / 放射 / 衛星観測 / 大気海洋相互作用 / モンスーン |
Research Abstract |
今年度は、衛星データ解析に基づき、冬の日本周辺の海面熱フラックスと下層雲の関係、ならびに夏の北太平洋の下層雲の微物理特性と海面水温の関係について解析を実施した。 冬の日本周辺海域については、公募研究(A03-公募6)と協力して解析を実施し、次のような結果を得た。(1)黒潮~黒潮続流域(142E-150E, 35N-40N)の冬の海面乱流熱フラックスにはSSTが重要だが、海面で短波放射と長波放射がバランスしており、放射はSSTにはあまり影響していない。(2)CALIPSO/CloudSatの解析から、下層雲は30N付近以南では水、30N付近以北では過冷却水の雲粒子が主であり、氷粒子はあまり見られない。 他方、夏の北太平洋の下層雲の微物理特性と海面水温(SST)、海上気温(SAT)の関係について得られた結果は次のとおり。(3)北太平洋を4分割して雲微物理特性の特徴を調べた結果、領域(170E-160W ,40N-50N)で有効半径の平均値が15.65μmとなり、他の領域よりも大きな値となった。また、雲粒数濃度は、平均値が37.23cm-3となり、他の領域よりも小さな値となった。この領域ではSST<SATという関係が顕著である。北太平洋全域の平均でも雲粒有効半径が14.53μmと大きいが、夏季下層雲を維持するメカニズムを微物理特性と関係づけて詳細に解析する必要がある。(4)三陸沖のヤマセ雲の海陸特性は風の収束の強弱や水蒸気の条件に依存している。SSTとSATの関係から、ヤマセ雲は移流霧という単純な捉え方は適切ではないと思われる。SST>SATの場合が多々見られるが、温度全体が低いと雲の成長は十分でなく、雲粒は小さく幾何学的厚さは薄い。(5)雲解像モデルCReSSによるヤマセ雲の数値計算結果から、放射による加熱・冷却が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、衛星観測データの解析、雲解像モデルによる数値シミュレーション、船舶・地上観測によって雲を含む大気・海洋系のエネルギーフローを解明するものであるが、現在までに衛星観測データの解析と雲解像モデルによるシミュレーションは予定通り進められている。船舶観測は平成24年度に計画されているが、その観測で本研究班が担当する放射観測の準備も進められており、本研究計画は概ね順調に進められていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
衛星観測データの解析を中心に研究を進め、雲の微物理特性と海面での熱フラックスの関係を解明してきた。また、雲解像モデルCReSSによる冬季の寒気の吹き出しに伴う層積雲および夏季のヤマセ雲のシミュレーションを行なってきた。今後はCReSSによるシミュレーションの結果と衛星観測データを比較する。これらの結果と平成24年度に計画されている船舶観測のデータを用いて、下層雲と海面での熱フラックスの関係を定量的に解明する。
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Research Products
(22 results)