2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
Project/Area Number |
22106007
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川合 義美 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (40374897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須賀 利雄 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70211977)
谷本 陽一 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (00291568)
伊藤 進一 独立行政法人水産総合研究センター, 東北区水産研究所・資源海洋部, グループ長 (00371790)
岡 英太郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (60360749)
植原 量行 東海大学, 海洋学部, 准教授 (90371939)
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Keywords | 海洋物理・陸水学 / 自然現象観測・予測 / 気象学 / 気候変動 / 大気海洋相互作用 / 海面熱フラックス / 水温フロント / メソスケール |
Research Abstract |
本課題は日本東方の黒潮・親潮続流域において、主にメソ・短時間スケールでの大気と海洋の相互作用過程を現場観測で捉え、数値モデル研究者と連携しながらこの海域での大気海洋相互作用が気候場に与える影響等を明らかにすることを目的とする。本年度は主に平成24~25年度の集中観測期間中に予定されている観測の準備を行う計画であった。具体的には係留ブイや水中グライダー及び船舶用気象測器等の調達、組立、動作試験等を予定通り行った。並行して、黒潮・黒潮続流、及び親潮の水温前線周辺において海洋が大気に与える影響を把握するため、海洋研究開発機構や水産総合研究センター、及び大学所有の船舶で水温前線を横断しながらラジオゾンデによる高層気象観測、XCTD/CTD/XCPによる海洋観測を行った。これらはA01-2班や公募研究課題と共同で実施した。更に、本州南方に形成される気圧極小域の季節から年々の変化を捉えることを目的として、黒潮を横切る定期フェリー便において海上気象要素の連続モニタリングを本年度より開始した。 これまでに得た水温前線横断観測データの解析により、100km程度の空間スケールで、低水温域上で海面気圧が高く、高水温域場で低くなる応答があることが示された。更に高層気象データから、水温前線を挟んで海陸風に似た局地循環が形成されていたことが示唆された。また、黒潮続流域の冬季海洋混合層の構造とそれに伴う亜熱帯モード水・中央モード水形成過程をアルゴフロートデータの解析により明らかにした。東経150-160度付近の親潮前線の南側では冬季の乱流熱フラックスが極大となり、局地的な深い海洋混合層形成に寄与していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までに予定していた係留ブイ、水中グライダー、及び船舶搭載気象測器の製作、調達、動作試験等の準備は順調に進み、計画通り平成24年度の観測から使用できる見込みが立っている。定期フェリー便での黒潮横断気象観測や親潮前線域での高層気象観測も本年度から開始出来た。論文や学会の発表も多数あり、研究成果も順調に出ている。特に目立った遅れはない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度から25年度にかけての2年間は全研究期間の中で黒潮続流域の集中観測実施期間と位置付けられており、平成24年度夏季、及び25年度の春季、夏季、冬季に研究船及び係留ブイによる集中的な大気海洋同時観測を実施する。単に現場観測だけで閉じるのではなく、数値モデルの検証やモデル実験等を通して、モデル研究との連携を図る。集中観測の実施やそこで得られる大量の観測データ解析には多大な人手が必要であるため、計画研究班の枠を越えて領域全体で連携しながら観測データや数値モデルの処理、同化実験等を分担することにより、迅速に解析や研究を遂行する。当初計画より観測航海の数が増えたため、予算や人手に応じて観測を減らす(親潮前線域のAライン)などの対応策を検討する。
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