2011 Fiscal Year Annual Research Report
モンスーン・アジアにおける大気海洋雪氷系の鉛直結合変動
| Project Area | Multi-scale air-sea interaction under the East-Asian monsoon: A "hot spot" in the climate system |
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| Project/Area Number |
22106009
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
中村 尚 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10251406)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 茂 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80281583)
行本 誠史 気象庁気象研究所, 気候研究部, 研究室長 (90354464)
高谷 康太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (60392966)
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| Keywords | 気候変動 / 海洋物理・陸水学 / 気象学 / 大気現象 / 自然現象観測・予測 |
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| Research Abstract |
(1)観測データから,シベリア高気圧の増幅に関わる北東シベリアの高気圧性偏差が北極上空の成層圏を寒冷化させる機構を,循環偏差と惑星規模波動との相互作用の観点から解明した.対流圏・成層圏結合変動に関わる大気のラグランジュ的運動をより正確に記述し得る理論の構築を進めた.
(2)気象研究所の最新の大気海洋結合モデルの長期積分から,「北極振動」の再現性が従来のモデルに比べ若干劣ることが判明した.
(3)渦解像海洋モデルOIFES再現実験から,海底地形の影響で南極周極流の強まった海域で渦運動エネルギーの顕著な増加傾向が見出された.大気海洋結合モデルCFESの中解像度版では南極振動に伴う10年規模の水温・海氷変化が見られ,観測データにも南大洋にて水温と海氷縁の逆相関が認められた.
(4)異なる緯度に水温前線帯を置いた大気大循環モデルAFESによる「水惑星」実験から,ストームトラックや渦駆動される中緯度偏西風の平均緯度が,両者の力学的相互作用と水温前線帯による熱力学的強制との兼合いで決まることが見出された.
(5)CFESの長期積分,観測データから,北西太平洋亜寒帯前線帯の海面水温偏差が,秋から冬への偏西風強化につれアリューシャン低気圧を弱める高気圧性循環偏差を強制することを明確に示し,ストームトラック変調の寄与を同定した.昨年夏・秋に観測された暖水偏差を与えたAFES実験から,高気圧性応答が偏西風との相対緯度に敏感なことが見出された.
(6)複数の異なる観測データから,5大洋の中緯度暖流域が全海洋平均よりも2～3倍も速く昇温していることを発見した.
(7)データの解析から,梅雨前線に伴う降水帯の経年変動が亜熱帯ジェット気流による暖気移流の変動と強く連動することを見出した.
(8)気象庁全球再解析の追加データの作成を,分解能を高めた海面水温データを境界条件として与えて開始した.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気候系の "hot spot" を特徴づける表層海洋・対流圏・成層圏の鉛直結合系が気候系の形成と変動に果たす多面的な役割に関する重要な成果を多くの論文にまとめ,米国気象学会・地球物理学連合専門誌に発表した.震災の影響で一部の数値実験が予定より若干遅れ気味であるものの, "hot spot" たる中緯度暖流域における温暖化が特に顕著なことを発見したことは当初予期しなかったが, "hot spot" の重要性が今後一層増すことを示唆する重要な成果である.尚,本科研費を含む複数の研究プロジェクトにて挙げた成果が高く評価され,分担者の三瓶准教授が23年度日本気象学会山本・正野論文賞を受賞した.
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| Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に成果が挙がっているため基本的には当初の予定通り進めるが,全球大気再解析の追加データの作成など震災に影響で若干遅れ気味の一部の数値実験の実施を一層加速するよう努める.
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[Journal Article] The 2009/2010 arctic stratospheric winter-general evolution, mountian waves and predinctability of an operational weather forecast model2012
Author(s)
Dornbrack, A., Pitts, M.C., Poole, L.R., Orsolini, Y.J., Nishii, K., Nakamura, H
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Journal Title
Atmospheric Chemistry and Physics
Volume: 12
Pages: 3659-3675
DOI
Peer Reviewed
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