2011 Fiscal Year Annual Research Report
融合マテリアル形成制御用無機クラスターの設計と合成
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
22107002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
|
Keywords | ハイブリッド材料 / 機能性高分子 / 融合マテリアル / 自己組織化 / セラミックス |
Research Abstract |
平成23年度は、(1)ピコリン酸チタン錯体の水熱分解による酸化チタン合成および分子制御による特異構造体の創出、(2)水溶性ケイ素化合物(WSS)を活用した均一沈殿法によるケイ素含有蛍光体の合成、(3)WSS水溶液を用いたシリコンバイオミネラルへの展開、の3課題を実施した。 (1)に関しては、昨年度に、ピコリン酸チタン錯体に分子制御剤としてピコリン酸を用いた水熱処理によりルチルナノロッド集積体が析出することを見出している。本年度はその生成機構を明らかにするために、種々の条件での合成を実施したところ、酸性条件にすることが集積体の生成要件であることが示された。また、シュウ酸を配位子に用いても酸性条件にすることで、同様の集積体が得られることが明らかとなった。すなわち、安定な錯体の創成が特異構造体の合成に必要であることが示唆された。 (2)に関しては、昨年度に、WSSの加水分解特性を利用した均一沈殿法による高輝度Zn_2SiO_4:Mn蛍光体の合成に成功している。本年度は、その手法の確立を目指し、ほかのシリコン含有蛍光体の合成を試みた。その結果、Yi_2SiO_5:Ce^<3+>においても、条件を適切にすることで、従来法よりも高輝度な蛍光体が得られることが明らかとなった。これらにより、WSSを用いた均一沈殿法が、低環境負荷プロセスによるケイ素含有無機マテリアルの合成に有用であることが示された。 (3)に関しては、領域内の研究者と具体的な連携方法について打ち合わせを行い、生物がつくりだすシリコン材料を人工的手法により作製可能であるか否かの検討を実施した。その結果、WSSの詳細な構造・特性を明らかにする必要があることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水溶性金属錯体と分子制御剤を用いることで特異な構造を有する材料の合成に成功しており、本研究の目的の一つである結晶形態制御と構造制御技術の確立が達成されつつある。また、水溶性無機クラスターを領域内研究者に提供することによる共同研究も進行し始めていることから、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子制御剤が及ぼす影響の詳細を明らかにするため、一部研究は継続して進める。一方で、新しい無機クラスターの構築およびその構造解析も実施する。また、共同研究をさらに推進し、とくに、異分野との融合研究の可能性を模索するとともに実際に研究に着手する予定である。
|